日本大百科全書(ニッポニカ) 「シラサギ」の意味・わかりやすい解説
シラサギ
しらさぎ / 白鷺
white egret
鳥綱コウノトリ目サギ科に属する鳥のうち全身白色のものの総称。日本には18種のサギ類が分布し、そのうち全身白色のものはコサギ属Egrettaに属するダイサギE. alba、チュウサギE. intermedia、コサギE. garzetta、カラシラサギE. europhotesの4種であるが、カラシラサギはまれな迷鳥で、シラサギとよばれるのは普通最初の3種である。なかでもコサギがいちばん多く、ついでチュウサギが多い。シラサギ類は、多数の鳥が群れ集まって一大混合集団となり、営巣する。またシラサギ類の集団営巣には普通多数のゴイサギと少数のアマサギが加わる。こうしたサギ類の集団営巣地はサギ山とよばれる。繁殖期のシラサギ類の背の飾り羽は非常に優美で、かつては婦人の帽子の飾りなどとして、高価に売買されていた。このため、シラサギ類は、飾り羽を目的とする羽毛採集業者によって乱獲され、世界のあちこちで絶滅に近い状態となった。その後、飾り羽の採集は多くの国で禁じられ、シラサギ類は普通にみられるようになった。しかし近年、工業化に伴って繁殖場所や採食場所が狭められ、またしだいに少なくなっている。
[森岡弘之]