シーボーギウム(読み)しーぼーぎうむ(英語表記)seaborgium

デジタル大辞泉 「シーボーギウム」の意味・読み・例文・類語

シーボーギウム(seaborgium)

人工放射性元素の一。名称米国の化学者シーボーグにちなむ。元素記号Sg 原子番号106。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シーボーギウム」の意味・わかりやすい解説

シーボーギウム
しーぼーぎうむ
seaborgium

周期表第6族に属する人工元素の一つ。原子番号106の元素。1974年ソ連のドゥブナ研究所のフレーロフGeorgy Nikolaevich Flerov(1913―1990)らはコールドフュージョン法により鉛208(208Pb)にクロム52(52Cr)を衝突させて259106(質量数259の106番元素)を得たと報告し、また同じ1974年アメリカのカリフォルニア大学バークリー研究所などによる研究で、ギオーソAlbert Ghiorso(1915―2010)らはカリホルニウム249(249Cf)に酸素18(18O)を衝突させて263106が得られたと報告した。これらの報告はいずれも106番元素の発見と認められた。263106の半減期は0.9秒でα(アルファ)粒子を放出して259104、すなわちラザホージウムとなる。

 国際純正・応用化学連合IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)と国際純粋・応用物理連合(IUPAP:International Union of Pure and Applied Physics)は1974年暫定的にラザホージウムrutherfordium(イギリスの物理化学者ラザフォードにちなむ)と命名したが、1997年にはこれを改めてシーボーギウム、元素記号Sgと決定した。シーボーギウムはアメリカの化学者シーボーグ(94番元素プルトニウムから102番元素ノーベリウムまでの超ウラン元素すべての発見者)にちなむ。

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化学辞典 第2版 「シーボーギウム」の解説

シーボーギウム
シーボーギウム
seaborgium

Sg.原子番号106の元素.電子配置[Rn]5f 146d47s2の周期表6族元素.周期表でタングステンの下に位置する(エカタングステン).1974年6月,ソビエト(当時)のドゥブナ原子核合同研究所で,310 cmサイクロトロンを用いて 54Cr を280 MeV に加速して 206,207,208Pb 標的を衝撃して得られた.同年9月,カリフォルニア大学ローレンス・バークレー研究所(LBL)でsuper HILAC(Heavy Ion Linear Accelerator)によって,18O を加速して 249Cf 標的と衝撃して質量数263の核種(α崩壊,自発核分裂半減期0.8 s)が得られた.1993年に至り,ふたたびLBLで88 in サイクロトロンを用いて確認され,G.T. Seaborg(シーボーグ)にちなんでシーボーギウムを元素名として提案,IUPACはこの名称を採択した(1997年).生存中の人名によるはじめての元素名である.質量数258~273の同位体核種がつくられているが,271Sg は半減期2.4 min.272Sg は半減期1 h とされる.室温固体の銀白色または灰色の金属とされる.1997年,重イオン研究所(GSI,ドイツ連邦ダルムシュタット)は,わずか7原子のSgについてのガスクロマトグラフィー液体クロマトグラフィーによって,化学的性質がタングステン,モリブデンに近いことを確認した.[CAS 54038-81-2]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シーボーギウム」の意味・わかりやすい解説

シーボーギウム
seaborgium

人工元素の一つ。元素記号 Sg。原子番号 106。1974年ソビエト連邦の合同核研究所のグレゴリー・N.フレーロフらは,鉛208と鉛207にクロム54を衝突させて質量数 259の 106番元素を得たと報告し,また同じ 1974年アメリカ合衆国のバークリー研究所のアルバート・ギオルソらは,カリホルニウム249に酸素18を衝突させて質量数 263の 106番元素が得られたと報告した。これらはいずれも 106番元素の発見と認められた。国際純正・応用化学連合 IUPACと国際純粋・応用物理学連合 IUPAPは 1997年,アメリカの物理化学者で超ウラン元素の発見者グレン・T.シーボーグにちなんでシーボーギウム,元素記号 Sgと命名した。

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百科事典マイペディア 「シーボーギウム」の意味・わかりやすい解説

シーボーギウム

元素記号Sg。原子番号106。人工元素の1つ。1974年旧ソ連のドゥブナ研究所で(54/)Crを加速して(206/)Pb,(207/)Pb,(208/)Pbに衝突させて質量数259の106元素を得たと報告,同じ1974年アメリカのカリフォルニア大学バークリー研究所などによる研究で,ギオーソらが(249/)Cfに(18/)Oを衝突させて質量数263の106元素が得られたと報告した。これらの報告はいずれも106番元素の発見と認められた。(263/)Sgの半減期は0.9秒でα粒子を放出して(259/)Rfすなわちラザホージウムとなる。国際純正・応用化学連合(IUPAC)と国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)は1974年暫定的にラザホージウム(イギリスの物理化学者ラザフォードにちなむ)と命名したが,1997年にシーボーギウムと正式決定した。シーボーギウムはアメリカの化学者シーボーグ(94番元素プルトニウムから102番元素ノーベリウムまでの超ウラン元素すべての発見者)にちなむ。

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