翻訳|californium
人工元素の一つで,周期表第ⅢA族に属するアクチノイドの一つ。知られている同位体は約10種で,そのうち半減期の最も長いものは251Cf(約800年)。1950年アメリカのトムソンS.G.Thompsonらがキュリウム242 242Cmにα粒子を衝撃させてはじめて得られたもので,この研究の行われたカリフォルニア大学とその州の名にちなんで命名された。天然には存在せず,すべて人工的につくられる。主な方法としては,(1)キュリウムにα粒子を衝撃させる,(2)ウラン238 238Uやプルトニウム239 239Puにベリリウム,炭素,窒素などの重いイオンを衝撃させる,(3)239Puおよび 238Uの多段階中性子捕獲,などがある。現在 252Cfがグラム量で生産され,中性子源として用いられている。単体は金属で,六方最密構造で比重15.1,面心立方構造で比重13.7,融点900℃。アクチノイド中心での位置はランタノイドのジスプロシウムと対応し,化合物の酸化数はⅢのみが安定。
執筆者:中原 勝儼
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
Cf.原子番号98の元素.電子配置[Rn]5f 107s2の周期表3族アクチノイド元素.6番目に発見された超ウラン元素.実験の行われたカリフォルニア大学,カリフォルニア州にちなんで命名された.1950年,G.T. Seaborg(シーボーグ),A. Ghiorsoらにより,カリフォルニア大学(バークレー校)の60 inサイクロトロンで加速した35 MeV4He原子核(α粒子)による 242Cm の衝撃で 244Cf が得られた.逐次中性子吸収(原子炉中)で得られる.249,252Cf が利用される.密度15.1 g cm-3,融点1173 ℃ の金属.第一イオン化エネルギー608 kJ mol-1(6.3 eV).通常の酸化数2~4.CfO,Cf2O3,CfO2,CfCl3がつくられた.現在,知られている同位体核種は,237~256の範囲に20種.質量数251の核種がもっとも長寿命で半減期898 y.254Cf の半減期は当初55 d とされ,超新星の光度減衰の半減期と一致するとして宇宙での合成が考えられたが,その後60.5 d と訂正されたのでこの説は根拠が不十分と考えられている.半減期2.645 y でα崩壊(97%)および自発核分裂(3%)する 252Cf は,自発核分裂の際に中性子を発生するので,ポータブル中性子源として放射化分析による現場での金,銀探索に使われる.[CAS 7440-71-3]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
アクチノイドに属する人工放射性元素。原子番号98、元素記号Cf。
1950年カリフォルニア大学バークリー校の60インチサイクロトロンを利用して、バークリウムに続いて合成され、カリホルニウムと命名された。質量数251の同位体が最長半減期898年をもつ。ほかにもかなり半減期の長い同位体があり、質量数252の同位体は、グラム単位の規模で入手できるもっとも重い核種である。この同位体は移動可能な中性子源として、宇宙空間や深井戸での中性子放射化分析に利用される。酸化数+Ⅲの状態が安定で、多くの化合物が知られている。他のアクチノイドと同じく、人体に危険であり、骨に濃縮して赤血球造成に障害を与える。
[岩本振武]
カリホルニウム
元素記号 Cf
原子番号 98
原子量 (252)※
密度 ―
融点 ―
沸点 ―
※括弧内の数値は原子量ではなく、同位体質量数の一例
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…(1)アメリシウムAm Uを高速α粒子(40MeV)で衝撃する。(2)カリホルニウムCf Uに加速した炭素イオンで衝撃する。(3)104番元素 Puをネオンイオンで衝撃する。…
※「カリホルニウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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