広幅帯鋼の連続圧延機。プロセスからプロセスへコイルの形で移動させる薄板圧延法が1920年代のアメリカに始まり、全世界に広まった。熱間ストリップ・ミルの形式には全連続式と半連続式とがあり、後者は一台の逆転式粗圧延機で粗圧延を行う点が前者と異なる。代表的なものは粗スケールブレーカー、鋳鋼ロールをもつ粗圧延機、六台のチルドロールをもつ四段仕上げ圧延機を直列にした構造になっている。冷間ストリップ・ミルの形式には単独スタンド可逆転式、3~6スタンド連続タンデムミルなどがある。六スタンド連続式タンデムミルの最高速度は1分間に7000フィートにも達する。いずれも品位の高い鋼板を大量に廉価に、かつ任意の長さで得られ、昔のプルオーバー圧延機に比べて著しく生産性が高い。
[志村宗昭]
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… 1900年前後に電動機が使用されるようになると,動力の制御の面で非常に大きな可能性が与えられた。すなわち,速度制御,出力制御,可逆性などがかなりの正確度で可能となり,圧延機を数台近接して配列し,1本の材料を連続して圧延するストリップミルstrip millと呼ばれるタンデム形式の連続圧延機や,同一圧延機で何回も往復して圧延する往復(可逆式)圧延機reversing millなどが続々と開発され,また圧延機の速度も飛躍的に上昇した。第2次大戦前は往復圧延機のほうが速度が速かったが,戦後の計測と制御の技術進歩によって,1980年代にはタンデム圧延機のほうが高速となり,さらに電子技術の進歩,圧延の現象面からの特性についての理解の深化などによって,圧延機操作の自動化と高速化とが可能となった。…
… 圧延法も変貌しつつある。20世紀前半期にアメリカで薄板と線材の連続圧延が完成し,戦後は薄板連続圧延(ストリップミル)が日本およびヨーロッパに大規模に導入されるに至った。さらに造塊(鋼塊)―分塊(鋼片)―製品圧延(鋼材)という旧来方式は,溶鋼の連続鋳造の工業化によって大きく変わりつつある。…
…20世紀に入ってからの鉄鋼技術の発展は,既成の製銑→製鋼→圧延の各工程の大型化,高速化,連続化の積重ねである(ただし,電気炉製鋼法による特殊鋼の製造は別)。とくに1920年代のアメリカにおいて出現したストリップミル(連続式圧延機)は圧延工程の連続化,高速化,大能力化を飛躍的に進めた。圧延工程の技術革新に伴って分塊(鋼の塊を適当な大きさに切断する)工程の能力も拡大した。…
※「ストリップミル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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