ストレスに強くなる食品(読み)すとれすにつよくなるしょくひん

食の医学館 「ストレスに強くなる食品」の解説

すとれすにつよくなるしょくひん【ストレスに強くなる食品】

《ストレスと食事には密接な関係がある》
精神を安定させるビタミンB群、ホルモンの生成をうながすたんぱく質、ビタミンC、神経の興奮を抑えるカルシウムマグネシウム自律神経を調整する機能に役立つビタミンEを、じょうずに組み合わせてとれる食品を選びましょう。
〈ストレスにはよい面と悪い面がある〉
 ストレスとは本来、環境の変化が起こったとき、たとえば外敵と立ち向かったときなどに、戦ったり、逃げだしたりといった適応をするために体を緊張させ、興奮状態にして準備するプロセスのことです。
 ストレスというと、心身によくないもののように思われがちですが、じつはそうとはかぎりません。
 例をあげれば、スポーツの試合に出場することは選手にとってストレスになりますが、試合という目標があればこそ、自分を奮い立たせたり、努力をする意志がわいてきます。
 豊かな人生を送るには、こうした適度なストレスが不可欠なのです。
〈自律神経のバランスがくずれ、体に症状がでる心身症〉
 しかし、人間関係がうまくいかなかったり、疲れがたまりすぎたりといった過度のストレスは、心身に悪影響をおよぼします。ストレスの強さがその人の耐えられる限度を超えたとき、心や体に異常が現れてくるのです。
 ストレスを原因とする病気には、それが体に現れた場合と、心に現れた場合とがあります。なかでも代表的なのは、心の病気では神経症(しんけいしょう)(「神経症」参照)と躁(そう)うつ病(「躁うつ病」参照)、体の病気では心身症(しんしんしょう)です。
 心身症とは、心の問題が体の症状として現れるものです。
 ストレスがかかると、その刺激が、自律神経や内分泌系(ないぶんぴつけい)をつかさどる脳の視床下部(ししょうかぶ)に伝わります。視床下部から脳下垂体(のうかすいたい)へホルモンを分泌する指令がだされ、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンなどが分泌されると、アドレナリンというホルモンが分泌され、肝臓からエネルギーのもとであるグリコーゲンが血液中に放出されて体が活発になります。
 また、アドレナリンには交感神経(こうかんしんけい)を活発にさせる働きもあります。自律神経のうちの交感神経が副交感神経よりも優位になることで、体は脈拍が速くなり、血圧が上がり、酸素を体中へ送って攻撃や抵抗に備えます。しかし、過剰なストレスがかかると、交感神経と副交感神経のバランスがくずれ、体に異常が起こります。これが心身症です。
<ストレスによる自律神経失調症のおもな症状と全身への現れ方>
・耳/耳づまり感、耳鳴りなど
・頭/頭痛、頭重感、片頭痛など
・目/目が疲れる、目が開かない、涙目など
・筋肉、関節/肩こり、腰痛、関節がだるい、背中が痛いなど
・口/口がかわく、口中が痛い、味覚異常
・のど/異物感、圧迫感、のどがつまるなど
・呼吸器/息苦しい、酸欠感、息切れなど
・循環器/動悸、不整脈、胸部圧迫感、血圧の変動、立ちくらみなど
・消化器/吐き気、便秘、下痢、ガス、腹部膨満感、腹鳴など
泌尿器/頻尿、残尿感、尿が出にくいなど
生殖器/外陰部のかゆみ、生理不順など
・手/しびれ、冷え、感覚異常、レイノー症状、ほてりなど
・足/しびれ、ほてり、冷え、痛みなど
・皮膚/乾燥、多汗、かゆみなど
・全身症状/倦怠感、疲れやすい、めまい、微熱、不眠、フラフラ・フワフワする、食欲がないなど
〈ビタミンB群、C、カルシウムなどでストレスに打ち勝つ〉
 ストレスと食事には密接な関係があります。
 ストレスに強くなるには、精神や神経の安定に大きく作用するビタミンB群、消費された副腎皮質ホルモンの生成をうながすたんぱく質とビタミンC、神経の興奮を抑えるカルシウムとマグネシウム、自律神経を調整する機能に役立つビタミンEなどを含む食品を積極的にとりいれましょう。
 ビタミンB群は、おたがいに助け合って働くので、玄米(げんまい)や小麦全粒粉(ぜんりゅうこ)などの全粒穀物、レバー、牛乳、たまご、豚肉、青背の魚、ダイズ、キノコなど、B群をまんべんなく含む食品をとると効果的です。レバー、たまご、豚肉、ダイズには、良質なたんぱく質も含まれています。
 牛乳はカルシウムを有効に吸収できる食材です。ビタミンCはくだもの類、マグネシウムは海藻類に豊富に含まれています。
〈1日3食きちんと食べる。楽しく食べるくふうも大事。〉
 ストレスでイライラしたり、ストレスが原因の病気にかかった人の食生活を調べると、偏食や不規則な食事、欠食、少食といった傾向がみられます。食事は日に3度、適量を規則正しくとることがたいせつです。
 また、おいしいものを楽しく食べ、食欲を満たすことは、それ自体がストレス解消になります。反対に、きらいなものを無理やり食べさせられたり、まずいと思いながら食べたのでは、食事がストレスとなってしまいます。主婦の場合、料理がきらいだったり、献立を考えるのがめんどう、といったことも同様です。
 栄養のバランスを考えると、外食や調理済みの食品にばかりたよるのはよくありませんが、あまり神経質になりすぎず、たまには家族そろってレストランへ出かけたり、お弁当を持って公園へいくなど、気分をかえてみるのもいいことです。
 ストレスに抵抗力をつける栄養素を日ごろから十分にとり、楽しく食事をすれば、心身ともに健康でいられることでしょう。

出典 小学館食の医学館について 情報

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