スノー(Baron Charles Percy Snow)(読み)すのー(英語表記)Baron Charles Percy Snow

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

スノー(Baron Charles Percy Snow)
すのー
Baron Charles Percy Snow
(1905―1980)

イギリスの小説家。レスターで生まれ、その地の大学を卒業し、さらにケンブリッジ大学で研究を続けた。専攻は物理学で、博士号を得たのち同大学の特別研究員となった。第二次世界大戦中に科学者を戦争目的のために動員する計画に加わって行政官となり、戦後もその仕事を続けて、1964年には科学技術省政務次官となった。この方面での功績により同年に男爵に叙せられた。1930年代初頭から小説を書き始めたが、初期の3冊の小説のあと『他人同胞』(1940~70)と題される11巻の小説からなる連作が続く。これが彼の代表作であり、当時国際的にももっとも広く読まれ、また広く論じられたイギリス小説の一つである。現代における科学と文学という「二つ文化」の分裂対立を論じた『二つの文化と科学革命』(1959)で世界的な論争を巻き起こした。科学と行政の関係を論じた『科学と政治』(1961)、『人間この多様なるもの』(1967)などの著書もある。

戸田 基]

『松井巻之助訳『二つの文化と科学革命』(1960/新版・1967・みすず書房)』『朱牟田夏雄訳『科学と政治』(1962・音羽書房)』『植田敏郎・井上日雄訳『人間この多様なるもの』(1970・紀伊國屋書店)』

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