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スミシーズ Smithies, Oliver

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

スミシーズ
Smithies, Oliver

[生]1925.6.23. イギリス,ハリファックス
[没]2017.1.10. アメリカ合衆国,ノースカロライナ,チャペルヒル
イギリス生まれのアメリカ合衆国の科学者。オックスフォード大学バリオル・カレッジで生化学を専攻し,1951年修士号と博士号を取得。1960年に渡米してウィスコンシン大学で研究生活を送り,アメリカ市民権を得たのちの 1988年ノースカロライナ大学チャペルヒル校医学部に移った。1971年全米科学アカデミー会員。1985年相同組換えによる遺伝子導入ができることを証明,1998年胚性幹細胞(ES細胞)を使って遺伝子標的法(ジーンターゲッティング)を開発した。この開発によりノックアウトマウス作製が可能になり,遺伝子の働きを解明する道筋を確立した。この業績が評価され,2007年マリオ・R.カペッキ,マーティン・J.エバンズとともにノーベル生理学・医学賞を受賞した。ほかに,2001年のアルバート・ラスカー医学研究賞など受賞多数。(→遺伝工学

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

スミシーズ
すみしーず
Oliver Smithies
(1925― )

アメリカの生理学者。イギリス生まれ。オックスフォード大学卒業、同大学で博士号取得。アメリカのウィスコンシン大学マディソン校教授を経てノースカロライナ大学教授。2007年、「胚性幹細胞(ES細胞)を利用してマウスの特定遺伝子を改変する基本原理の発見」によって、エバンス、カペッキとともにノーベル医学生理学賞を受賞した。
 動物は、たった1個の受精卵から分裂を繰り返して1個体を形成するが、このように身体のあらゆる種類の細胞になるのがES(Embryonic Stem)細胞である。人体を形づくるあらゆる細胞に分化する大もとの細胞であり、分裂する前の状態では自らを際限なく分裂させて増やすことができる特性をもっている。
 1981年、エバンスはマウスの胚(受精卵)から、さまざまな細胞に分化するES細胞を初めてつくった。この研究はその後も発展を続け、1995年にはアメリカ・ウィスコンシン大学のグループがアカゲザルのES細胞株の樹立に成功、ついで1998年には同大学でヒトのES細胞株の樹立に成功した。
 スミシーズは、ES細胞の中のある特定の遺伝子の機能を失わせ、それを別の受精卵に注入して代理母となる別のマウスに移植した。この母マウスから生まれるマウスは、正常な遺伝子と機能を失った遺伝子と両方をもつキメラマウスとなる。このキメラマウスからさらに目的とするマウスの純系を確立して、1989年に特定の機能が欠けている遺伝子をもったノックアウトマウスを作成した。
 ノックアウトマウスは糖尿病、癌(がん)、心臓病など特定の病気を発症させる病気モデルマウスであり、病因究明や治療法開発などの研究に応用されるようになった。すでに500種類以上のノックアウトマウスがつくられ、医学研究に画期的な成果をもたらしている。[馬場錬成]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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