スモモ・プルーン(読み)すももぷるーん

食の医学館 「スモモ・プルーン」の解説

すももぷるーん【スモモ・プルーン】

《栄養と働き》


 スモモはバラ科の落葉中高木で、世界各地で栽培され多くの種類があります。果樹として広く利用されているのは、中国原産のニホンスモモ、コーカサス原産のセイヨウスモモ、アメリカ原産のアメリカスモモの3種類です。
 スモモは英語でプラム、フランス語でプルーンと呼ばれますが、国によっては生果をプラム、乾燥品をプルーンと呼ぶこともあります。ここでは生食されるソルダム大石早生(おおいしわせ)などをスモモ(プラム)、乾燥品に適したセイヨウスモモの一種をプルーンとしました。
○栄養成分としての働き
 スモモは果汁が多く、適度な酸味と甘みがあって、のどのかわきをいやす夏のくだものです。カリウムを含むため、利尿が促進されます。カリウム以外にも鉄、ナトリウムカルシウムなどのミネラル、ビタミンB群・C、水溶性食物繊維ペクチンを含有しますが、量的には多くないので、あまり栄養効果は期待できません。
〈プルーンは、抗酸化物質が多く、老化防止にも威力を発揮〉
 プルーンはミネラル・ビタミンをバランスよく含んだ栄養食品で、欧米では「ミラクルフルーツ」と呼ばれるほど。カロテンの含有量はアンズに次いで多く、このほかB2ナイアシンパントテン酸などのビタミン類を含有しています。ミネラル類も豊富でカルシウム、リンマグネシウム、鉄、カリウムを含みます。
 造血に不可欠のビタミンB群が豊富なうえ、乾燥品になると鉄が多くなるので貧血に効き、アメリカの実験でも貧血を治す効果はレバーに次ぐと報告されています。ナトリウムの480倍ものカリウムを含むため、体内の余分なナトリウムを排出し、高血圧の予防になります。
 プルーンは便秘(べんぴ)解消の妙薬として欧米で知られていますが、これはマグネシウムなどのミネラル類の複合作用に加え、食物繊維が豊富なためです。また、新陳代謝を活発にするカロテンは、肌荒れに効果があります。これらの効用は生果にも認められますが、乾燥させると、より高くなります。
 さらにアメリカにおける近年の研究により、ドライプルーンには多量のポリフェノール類が含まれ、そのなかのネオクロロゲン酸には高い抗酸化作用があることが判明しています。ドライプルーンの活性酸素抑制能力はくだもののなかではもとより、野菜類のなかでも群を抜いているとのことで、がん予防や老化防止の効果が期待されるわけです。

《調理のポイント》


 スモモ、プルーンとも旬(しゅん)は夏で、スモモは6月中旬に熟す大石早生などの早生種から、7月下旬に熟すソルダムまで季節を追って味わえます。選ぶポイントは張りがあって色がよくでているものです。生食のほか、ジャムに利用します。
 プルーンは乾燥品がほとんどですが、たまには生果も店頭にならびます。果肉はスモモよりかたく、ほどよい甘みと酸味があります。長時間水につけると水溶性ビタミンが溶けだしてしまうので、洗う場合は手短に。保存するときは水けに弱いので、よく水分をきってください。
○漢方的な働き
 スモモは肝臓の機能を正常化する働きがあるので、肝臓病による腹水(ふくすい)や二日酔い、熱があって口がかわくときなどに効果があります。古血をのぞくことも知られ、月経不順による肩こりなどの体調不良にも効くといわれています。
 種の殻(から)を取り去った核は李核仁(りかくにん)と呼ばれ、うっ血による痛みや便秘(べんぴ)、せきの薬として用いられます。

出典 小学館食の医学館について 情報