スーパーマーケット(英語表記)supermarket

翻訳|supermarket

精選版 日本国語大辞典 「スーパーマーケット」の意味・読み・例文・類語

スーパー‐マーケット

〘名〙 (supermarket) 食料品・雑貨・衣料品などを主体に、セルフサービス方式を採用する、単一経営による大規模な小売店スーパー。〔新聞語辞典(一九五一年版)(1950)〕
[語誌]一九三〇年、大不況時代のアメリカで、ロングアイランドの空き倉庫を使って食料品などを超格安で大量に販売したのが始まり。日本では一九五三年に誕生した東京青山の紀ノ国屋が最初。

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デジタル大辞泉 「スーパーマーケット」の意味・読み・例文・類語

スーパーマーケット(supermarket)

セルフサービス方式で、食料品を中心に日用雑貨・衣料品などの家庭用品について、大量・廉価販売を行う大規模小売店。SM。スーパー。
[類語]デパート百貨店

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改訂新版 世界大百科事典 「スーパーマーケット」の意味・わかりやすい解説

スーパーマーケット
supermarket

1929年の大恐慌のあとをうけた30年代の不況期のアメリカで,とくに食料品部門を中心として発展した小売形態であり,A & P社がとくに有名である。発達した理由としては次のような事情が考えられる。(1)大量生産方法が確立し,これが一般日常商品の分野にまで浸透して標準化商品が登場するようになったこと,(2)マスコミの発展の結果,宣伝・広告など情報伝達の手段が豊富になったこと,(3)核家族化が進行したばかりでなく,女性の社会進出が進んだため簡便な購買方法が好まれるようになったこと,(4)自動車が普及したためワンストップ・ショッピングへの志向が高まるとともに,みずから持ち帰ることが容易になったこと,などである。

 このスーパーマーケットは,セルフサービス方式を小売業に初めて導入したという点ばかりでなく,冷凍技術といった食品保存技術を著しく発展させることにより,それまで複雑で困難であった生鮮食料品の大量販売を可能にしたという意味で,百貨店チェーン・ストアと並んでアメリカにおける小売業の三大革新の一つといわれている。その特徴は,(1)入口で手押車ないし手提げ籠をとって店内に入る,(2)肉類,生鮮食料品など一部の売場を除いては店員がいない,(3)商品は一定の順序に従ってすべて客の手の届くところに陳列されており,客は品物を手にとって自分で確かめることができる,(4)商品にはすべて値段と必要な説明がはっきりと表示されている,(5)客は買いたい商品を自分で選び,手押車ないし籠に入れて出口まで運ぶ,(6)客は出口のキャッシュ・レジスターで勘定を済ませ,紙袋に入れた商品を受け取り自分で持ち帰る,などである。こうしたキャッシュ・アンド・キャリー(現金支払と持帰り)方式の簡便さと価格の安さのため,このスーパーマーケットはその後著しい発展を遂げ,現在では世界的に普及した販売方法となるに至っている。このノウ・ハウは,今日では食料品以外の商品分野にも積極的に導入されているほか,百貨店などにおいても一部で応用されるなど,多面的に利用されている。

 このスーパーマーケットの定義は必ずしも明確ではない。セルフサービスを原則とする高度に部門別に組織化された最寄品の大規模な廉売店であり,またチェーン・ストア形式をとるものが大部分であるが,その店舗規模の大小によって大きなものはスーパーマーケット,小さなものはスーパレットsuperetteと呼ばれることもあり,フランチャイズ方式で行われているコンビニエンス・ストアのような小型店もスーパーマーケットの一種である。また,その売上げの50%以上を衣料品・雑貨などが占める場合にはスーパーストア,さらにその巨大なものは総合小売店(ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア,GMS)と呼ばれている。また日本では,食料品を扱う店舗がスーパーマーケットであることには変りがないが,衣料品,雑貨などの日常用品のチェーン形式による販売店をスーパーと呼んでいるため,両者の関係が若干紛らわしい。このスーパーマーケットを消費者側からみると,(1)自由に手にとって商品の選択ができる,(2)価格が安く,しかも表示が明りょうである,(3)小口販売を行っているため必要量だけの購入が可能である,(4)店員にわずらわされることがない,などの利点がある。しかし,(1)商品が規格化されているため,これにみずからを適合させねばならない,(2)ある程度の商品知識を必要とする,(3)義務的な買物という感じでショッピングの楽しみがない,などの欠点もある。したがって今日の消費者は,日用品,必需品,規格品といった生活必需品はスーパーマーケットで購入し,買回り品,専門品は百貨店とか専門店で購入する習慣を身につけるようになっている。

 日本における第2次大戦後の流通革新は,1960年ころから普及しはじめたこのスーパーマーケットに始まっている。72年にはそれまで小売業の首位を占めていた三越売上高ダイエーが抜き去り,以後スーパーの優位が続いている。しかし,スーパーマーケットが巨大化し百貨店に優に対抗しうるビッグ・ストアと呼ばれるほどの発展を示したため,百貨店のみならず各地の一般独立小売商との間の対立が激化した。そのため,これまで特別の規制のなかったスーパーマーケットに対して百貨店法のような法的規制が必要であるということになり,73年には百貨店法が廃止されるとともに,百貨店とスーパーマーケットを含めた一定規模を超える大型店を大規模小売店舗と規定し,その出店,売場面積,営業時間などを規制するための大規模小売店舗法大店法)が制定され,かつての百貨店法と同様にスーパーマーケットも政府の規制のもとにおかれることになった。その結果,スーパーマーケットの小売業界における優位は定着したものの,急成長は望めなくなり,大規模な総合スーパー・チェーンどうしの間の競争が激化しながら今日に至っている。
小売店
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スーパーマーケット」の意味・わかりやすい解説

スーパーマーケット
すーぱーまーけっと
super market

食料品を主体に、日用雑貨、衣料品などの家庭用品をそろえ、大量、廉価、現金販売を原則とする小売店をいう。その特色は、(1)客は入口でバギー(手押し車)またはバスケット(手提げ籠(かご))をとって店内に入る、(2)肉類、鮮魚類の売場の一部など特殊な場合を除き、売場には店員がいない、(3)商品はすべて客の手の届く範囲に陳列されている、(4)かならず価格の表示がある、(5)法定の表示のほか、必要な場合、商品に簡潔な説明がつけてある、(6)客は買いたい商品をバギーまたは手提げ籠に入れ、出口のレジスターで会計をする、(7)買った物を店側の提供する、もしくは持参した袋などに入れて客自身が持ち帰る、などである。日本では、単にスーパーとよぶことが多い。

 大量販売は、1920年代にアメリカでチェーン・ストアによって始められたが、本格的な廉価販売をセルフサービス方式によって展開するには至らなかった。1930年代の不況期に、アメリカのキング・カレン商店をはじめ、都市郊外の倉庫や空き工場を利用するセルフサービス方式の大量安売り販売が全米に広がり、これがスーパーマーケットの源流になった。第二次世界大戦後、各国に急速に普及し、日本では1960年(昭和35)以降、おりからの高度経済成長の波とともに爆発的に浸透。一時は群小スーパーが乱立ぎみとなり、倒産するものもかなり出たが、その後、系列化が進み、全国的な規模で店舗網をもつナショナル・チェーンとよばれる大手総合スーパーを軸に整理・統合されて、再発展していった。1972年にはスーパーマーケットの筆頭であるダイエーの売上高が、それまで小売業界に君臨してきた百貨店の首位にある三越(みつこし)のそれを上回るまでになった。こうした小売業界における急成長は、既存小売店や百貨店との間に紛争を引き起こすことになり、とくに、百貨店法によって規制されていた百貨店の不満は強かった。1973年に百貨店法が廃止されて大規模小売店舗法(正式には「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律」、略称大店法)が制定され、一定規模を超える小売業は、その形態のいかんを問わず、出店、営業時間、売場面積などが規制されることになった。さらに1998年(平成10)には規制緩和の一環として大店法が廃止され、新たに大規模小売店舗立地法(略称大店立地法)が制定され、大規模小売店は、生活環境の面から配慮すべき事項(駐車、騒音など)が定められることになった。

 スーパーマーケットを消費者側からみると、(1)店員に気がねなく商品を手にとって選択できる、(2)価格が安い、(3)品ぞろえが豊富、(4)必要な量だけ買うことができる、などの利点がある反面、(1)規格化されたものに自己の欲求を適合させなければならない、(2)商品知識を必要とする、(3)ショッピングの楽しみが少ない、などの欠点がある。このため、日用品、規格品、生活必需品はスーパーマーケットで買い、その他のものは専門店、百貨店で買うという購買行動の区分を、消費者は意識的に行うようになった。

 消費者側の欲求の多様化は、スーパーマーケット自体の側にも変革を促し、そのことがさまざまな変種を生み出すことになった。前述のナショナル・チェーンは、チェーン・ストア方式のスーパーマーケットである。日本の主軸はこの方式であるが、21世紀に入って、この方式による出店に対しては、店舗内に公共施設の併設を希望する声が強まり、また競争の激化もあって、大型化、華美化の傾向が進み、廉価販売に陰りが出ている。この方向に対照的なのがコンビニエンス・ストアである。それは、大規模店では提供できないような便利さ(コンビニエンス)を顧客に与えることをねらった小型のスーパーマーケットであり、ミニ・スーパーとかコンビニとよばれている。このほか、食料品に比べて衣料品の比重の高いスーパー・ストア、倉庫などで商品を箱に入れて並べ、徹底して安く売るボックス・ストア、一定の価格帯の回転率の高い非食料商品を扱うバラエティー・ストアなどの変種がある。スーパーマーケットも多様化の成熟期に入っている。

[森本三男]

『川一男著『スーパーマーケット指南』(2010・商業界)』

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百科事典マイペディア 「スーパーマーケット」の意味・わかりやすい解説

スーパーマーケット

食料品を中心とする日用品の大規模な廉売(れんばい)小売店。大量仕入れによる仕入値の引き下げや,客のセルフサービスによる人件費の節減などによる販売コストの引き下げを行い,低価格で大量に販売する。前年に始まった世界大恐慌下にあった1930年,米国ニューヨーク州ロングアイランドに世界初の店舗が開店,1930年代後半には全米に広がった。日本では1953年,東京青山に紀ノ国屋が開店したのに始まり,1960年代に急速に拡大した。わずか10年間で小売業態別売上シェアで百貨店を抜いてトップに立ち,現在,日本チェーン・ストア協会には121社以上が加盟,全国の総店舗数は7076店(1998年8月)となっている。
→関連項目カルフール[会社]関西スーパーマーケット[株]コンビニエンス・ストアショッピング・モール大規模小売店舗法チェーン・ストア流通革命

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スーパーマーケット」の意味・わかりやすい解説

スーパーマーケット
supermarket

単独経営のもとに,食料品を中心に日用雑貨類を販売するセルフサービス方式の大規模小売商。大量仕入れによる仕入れ値の引下げ,セルフサービスによる人件費の節約などによって販売価格の低廉化,大量販売の促進をねらいとする。 1930年代にアメリカで始められた。日本では 53年に誕生し,60年頃から急速に普及した。売上高のかなり高いものをスーパーマーケット (日本ではビッグストアともいう) ,小規模なものをスーパーレットと呼んで区別することもある。当初,販売価格の低廉化を売り物としてシェアを高めてきたが,店舗の大型化や取扱い商品の増大などによって販売価格が相対的に上昇し,ホームセンターや倉庫型店舗など新たにディスカウント・ストアが登場してきている。

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世界大百科事典(旧版)内のスーパーマーケットの言及

【小売】より

…たとえば最寄店は食料品,医薬品,日用雑貨のような日常生活の必需品の小売機能を担当し,買回り店は装飾品,家具,家電製品のように消費者がその品質や価格をそのたびごとに比較して購入する商品の小売機能を,専門店は貴金属,宝石,特殊な趣味品あるいは一部のスポーツ用品などのように品質の限定された高級品の小売機能を担当している。また店舗の営業形態によっても担当される小売機能は分化されており,百貨店は主として中級品から高級品にいたる幅の広い価格の商品をあらゆる種類にわたって販売するという小売機能を,大型スーパーは中級品を主体とした標準化商品を,ディスカウント・ストアは大量生産された低価格商品の量販という機能を,さらにスーパーマーケットは食料品を主体とした小売機能を,チェーン・ストアは商品部門を限定した各種商品の小売機能をというように,各地域,人々の所得,人口差に合わせた多様な店舗が展開されて,それぞれの小売機能を果たしている。 このような小売機能を補助しているのが,小売業者を除く広義の商的・物的流通機関が担当する流通機能である。…

※「スーパーマーケット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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