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セーの法則 セーのほうそくSay's law

翻訳|Say's law

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

セーの法則
セーのほうそく
Say's law

貨幣は単なる交換手段であり,生産物の販売は同時に生産物の購買であるから,生産物の総供給と総需要は恒等的に等しいという命題。主唱者である J.-B.セーが「販路法則」とも呼んだものである。 D.リカードはこのセーの法則に基づいて一般的過剰生産は存在しないことを主張し,一般的過剰生産の可能性を主張した T.R.マルサスと対立した。恐慌の必然性を主張した K.マルクスもセーの法則を批判した。 J.M.ケインズ以後はセーの法則は生産物の総需要と総供給が価格の調整により均等化されることを意味すると解釈されている。ケインズはこの法則を「供給はそれみずからの需要を生み出す」と表現し,セーの法則に明示的あるいは暗黙的に基づくリカードや A.マーシャルの経済学を「古典派」経済学と呼んで,実質賃金率の下方硬直性により不完全雇用が生じる可能性を指摘したケインズの経済学と区別した。現代的な意味でのセーの法則は,このような価格調整に基づく経済学と数量調整に基づく経済学を区分するための基準の役割を果している。

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デジタル大辞泉の解説

セー‐の‐ほうそく〔‐ハフソク〕【セーの法則】

セーが提唱した経済学上の見解。貨幣は単に交換の媒介手段にすぎず、供給はそれ自らの需要をつくりだす。従って、部分的過剰生産はありえても一般的過剰生産はありえないという主張。マルクスケインズによって批判された。販路説

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百科事典マイペディアの解説

セーの法則【セーのほうそく】

生産物の買手は自分の生産物をまず売って貨幣に換えて買うのだから,貨幣は結局生産物で,売手(供給者)の生産物の相手は買手(需要者)の生産物であり,売りと買い,供給と需要は一致するとするセーの主張。
→関連項目雇用・利子および貨幣の一般理論

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世界大百科事典 第2版の解説

セーのほうそく【セーの法則 Say’s law】

〈供給はそれみずからの需要をつくりだす〉あるいは〈生産物に対して販路を開くのは生産である〉というように要約される命題。提唱者であるフランスの経済学者J.B.セーの名にちなんで呼ばれるが,販路説ともいう。セーみずからは販路の法則loi des débouchésと呼んでいる(《政治経済学概論》1803)。この命題は,生産物が結局は生産物によって購買されることを意味し,貨幣を交換の単なる媒介手段つまり流通手段とみなすことによって初めて成立する。

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大辞林 第三版の解説

セーのほうそく【セーの法則】

フランスの経済学者セーが唱えた経済学説。生産物の供給はそれ自らの需要を生み出すとして、全般的な過剰生産を否定する。古典学派の中心的説であったが、ケインズにより批判された。販路説。 → セー

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

セーの法則
せーのほうそく
Say's law

供給はそれ自ら需要をつくりだす、という命題に要約されている経済学上の見解で、販路説ともいわれる。古典派経済学が共通に前提とした見解であるが、最初の提唱者であるフランスの経済学者J・B・セーの名前からこのようによばれている。財の生産は、それに参加した生産要素(土地、労働、資本)の提供者に、生産された財の価値に等しい所得をもたらし、その所得はすべて生産物に対する需要となるので、財を供給することはそれに対する需要を生み出すことになる。したがって、経済全体をとってみれば、生産の不つり合いによる部分的過剰生産はありえても、一般的過剰生産はありえないというのがこの法則の考え方である。
 セーの法則に対しては、K・マルクスとJ・M・ケインズの批判がよく知られている。
 セーの法則では、貨幣が単なる交換の媒介手段とみなされているために、資本主義的貨幣経済と物々交換とが同一視されている。物々交換では、生産物の「売り」は同時に「買い」となるが、資本主義経済では、両者が統一的に実現されるとは限らず、分離の可能性と必然性が存在する。ことに、「売り」によって取得された貨幣は貯蔵手段ともなるので、この分離が大規模に生ずる可能性、すなわち恐慌の可能性が存在する、というのがマルクスの批判である。
 ケインズの批判は、貯蓄と投資は一致しないという点にある。セーの法則では、所得のうち消費されなかった貯蓄部分はかならず投資に回されると考えることになるが、両者はまったく別々の人の決意によって行われるものであって、一致する保証はなく、その不一致が経済変動をもたらすというものである。[佐々木秀太]

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世界大百科事典内のセーの法則の言及

【雇用・利子および貨幣の一般理論】より

…したがって所得が増え,所得と消費の差つまり貯蓄が増えるのにつれて自動的に投資が増えないかぎり,需要曲線は供給曲線を下回る。そこで,投資水準が与えられると,それに応じて所得したがってまた雇用の水準が決まるというのが《一般理論》の基本的な考え方であり,〈貯蓄に等しい投資が自動的に生み出される〉とか,〈供給はそれ自身の需要をつくり出す〉という意味での〈セーの法則〉を否定したところに,その特徴がみられる。 投資が増加すれば総需要が増大し,需要曲線が右上方に移動することになり,需要曲線と供給曲線の交点は右上方に移り,雇用量は増大する。…

【セー】より

…みずから〈スミスの弟子〉と称したほどスミスに傾倒し,《国富論》のフランスへの紹介者として,大陸における経済学の流布に新しい段階を画した。だが彼の主著は,スミスの労働価値説ではなく主観的な効用価値説を基礎とし,土地・労働・資本の3要素がそれぞれ〈生産用役service productif〉として役立つことによって地代・賃金・利潤が報酬として得られるという理解から,富の生産・分配・消費を3編から成る構成で説いたもので,《国富論》を通俗化し,異質なものであった(彼の名を不朽なものとした〈セーの法則〉については同項を参照されたい)。【時永 淑】。…

※「セーの法則」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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