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有効需要 ゆうこうじゅようeffective demand

翻訳|effective demand

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

有効需要
ゆうこうじゅよう
effective demand

財やサービスに対する実際の貨幣的支出を伴って現実に市場に現れる需要のこと。単なる欲求ではなく,一商品一産業に対しても適用可能な概念であるが,J.M.ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』の出現以後は,この用語はもっぱら社会全体の需要の総計という意味で用いられている。国民経済全体の有効需要は,大別して個人や政府の消費支出,企業や個人あるいは政府の資本形成,および外国への財やサービスの輸出の3つから成る。有効需要に対し,なんらかの理由によって実際に貨幣的支出とならないでいる需要を潜在需要という。有効需要の概念はケインズ経済学の中心的理論の一つである有効需要の原理の根底となる概念である。

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知恵蔵の解説

有効需要

現実に存在する財に対する需要。具体的には、消費需要、投資需要、政府支出、純輸出からなる。ケインズは、この有効需要の大きさこそが一国経済全体の生産量や雇用量を決定する、と考えた。これを有効需要の原理という。このことは一見自明なことのように見えるが、実は新古典派経済学は、これとは全く逆に、一国経済全体の生産量こそが有効需要の大きさを決定する、と考える。このような違いを生み出すのは、両者の利子に対する考え方の相違による。新古典派経済学は、利子は経済全体の貯蓄と投資が等しくなるように決定される、と考える。供給側の条件の変化(例えば貯蓄の増大)は、利子率の低下をもたらし、それと同じだけの投資を発生させることになる。すなわち供給はそれ自ら需要を作り出す。一方、ケインズ経済学は、利子は貨幣に対する需要と供給が等しくなるように決定される、と考える。そのため貯蓄の増大が、利子率の低下やそれと同じだけの投資を発生させることはない。すなわち供給は、それ自ら需要を作り出すことができないことになる。

(荒川章義 九州大学助教授 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

ゆうこう‐じゅよう〔イウカウジユエウ〕【有効需要】

実際の貨幣支出に裏づけられた需要。ケインズの所得分析の基礎となる重要概念。

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百科事典マイペディアの解説

有効需要【ゆうこうじゅよう】

一般的にはものを買うための貨幣支出という形をとった人間欲望の発現をいう。経済学では,消費支出,投資支出,政府の財貨・サービス購入,輸出の合計をさす。この大きさによって国民総生産の大きさがきまるとする理論を有効需要の原理といい,ケインズが提唱した。
→関連項目インフレ・ギャップ完全雇用近代経済学金利政策クラウディング・アウト資本の限界効率フィスカル・ポリシー

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大辞林 第三版の解説

ゆうこうじゅよう【有効需要】

貨幣的支出の裏づけのある需要。一般には消費・投資・政府支出などの総額によって表される。

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世界大百科事典内の有効需要の言及

【経済学説史】より

…通常,重商主義は金が国富であると考える重金主義に基づく貿易差額重視の政策であるといわれるが,これについては貨幣量と物価の比例関係を主張する貨幣数量説による批判が当時からあった。ケインズは有効需要を確保する政策として重商主義政策の意義を高く評価している。また,自国の産業のために市場を確保する政策と解するならば,現代の貿易摩擦との関連も否定しえない。…

※「有効需要」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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