ソーシャル・サービス(読み)そーしゃるさーびす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソーシャル・サービス」の意味・わかりやすい解説

ソーシャル・サービス
そーしゃるさーびす

単数のsocial serviceは、現代の日本における社会福祉事業にほぼあたるものである。ただし、日本では社会福祉事業に更生保護事業を含める例があるが、後者はソーシャル・サービスに含めない。複数のsocial servicesは、現代の日本で社会保障として一括される社会保険、公的扶助、社会福祉事業などのほか公衆衛生住宅政策教育政策などまでを含んでいる。しかし、ここでも、更生保護事業は含まれない。単数よりは複数のほうがより多く使われているようである。元来はイギリスでよく使われた概念であるが、のちにアメリカでも広く使われるようになった。歴史的にしだいに慣用されるようになったものであるから、とくに厳密な定義があるわけではない。したがって、このことばが使われているときには、どのような意味でそれが使われているのかに、そのつど注意しなければならない。

[副田義也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソーシャル・サービス」の意味・わかりやすい解説

ソーシャル・サービス
social services

社会事業はもとより,社会政策社会保障,さらには教育,公衆衛生,住宅,犯罪関係など,国民にとって生活上必要な精神的,物質的諸条件にかかわる社会的施策を広くそのなかに包み込んだ概念であり,社会福祉とほぼ同義。ソーシャル・サービスという言葉は,従来日本で使用されてきた社会事業の用語が,1950年代以降の福祉国家政策のもとで,社会福祉という新語に包括される過程でそれと区別するため一般に用いられるようになった。社会事業がその対象を国民一般ではなく,社会的障害のにない手 (低所得者,身体障害者など) に限定するのに比べ,ソーシャル・サービスは,国民全体を対象としている。今日のソーシャル・サービスはきわめて多種多様な内容,性格をもつが,それらに共通していることは,サービスを提供する主体とそれを受ける客体との関係が一方的なものではなく,一種の権利=義務関係にある点である。

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世界大百科事典(旧版)内のソーシャル・サービスの言及

【ソーシャル・アドミニストレーション】より

…ソーシャル・アドミニストレーションはイギリスの大学でソーシャル・サービスを研究,教育する学部名となっており,一つの学問分野と認められている。ただ,それが固有の知識体系を持った学問領域disciplineであるか否かについては,議論が分かれている。…

※「ソーシャル・サービス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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