ダンゴウオ(読み)だんごうお(英語表記)lumpfish

翻訳|lumpfish

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダンゴウオ」の意味・わかりやすい解説

ダンゴウオ
だんごうお / 団子魚
lumpfish

硬骨魚綱カサゴ目ダンゴウオ科の魚類総称、またはそのなかの1種。日本海、オホーツク海、北太平洋、北大西洋および北極海などに広く分布する寒海性の魚類で、世界から40種ほど、日本では日本海の全域と神奈川県以北からイボダンゴウオ、コンペイトウ、フウセンウオ、ホテイウオなどおよそ10種が知られている。体は球形または楕円(だえん)形で、普通大小の円錐(えんすい)形のこぶ状突起で覆われている。口は著しく小さい。鰓孔(さいこう)は小さく、胸びれの前に開く。腹びれは合一して吸盤になっている。全長30センチメートル以下である。

 和名ダンゴウオcoast lumpfish/Lethotremus awaeは、日本では佐渡、伊豆半島下田から千葉県小湊(こみなと)までと、中国の山東半島に分離して分布する暖海性の種である。体がほとんど球形に近い。皮膚は円滑で、こぶ状の突起がない。鰓蓋(さいがい)から下顎(かがく)にかけて3個の管状突起が並ぶ。体色は褐色、赤色、緑色など変化に富む。小形種で体長3センチメートルぐらいにしかならない。水深200メートル以浅にすむ。晩冬から早春沿岸近くで産卵する。体長18ミリメートルの雌は卵径1.4ミリメートルの熟卵を200個余りもつ。姿と動きのかわいらしさから水族館観賞魚として展示する。

[尼岡邦夫]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ダンゴウオ」の意味・わかりやすい解説

ダンゴウオ (団子魚)
lumpfish

カサゴ目ダンゴウオ科に属する海産魚の総称,またはそのうちの1種を指す。和名は体がまるいことに由来する。英名はこぶのある魚の意。日本海,北太平洋,オホーツク海,ベーリング海,北大西洋など,北半球の寒海域に分布し,25種ほどが知られている。日本の隣接海域には20種ほど分布し,日本近海からは9種が報告されている。体は球状で,ふつう骨質の隆起物に覆われ,胸部には腹びれから変化した吸盤がある。ホテイウオを除けばほとんどが全長10cm以下の小型種である。イボダンゴEumicrotremus orbisはオホーツク海,千島,北海道の太平洋岸,日本海,アメリカの北太平洋岸に分布する。全長33mmほどで成熟する。卵数は数百粒。潮間帯の浅いところで見つかることもある。ダンゴウオLethotremus awaeは静岡県と千葉県に分布し,全長わずか20mmで成熟卵をもつ。卵数は左右の卵巣あわせて200粒余り。産卵期は晩冬から早春と推定される。この時期に沿岸に来遊する。食用にならない。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダンゴウオ」の意味・わかりやすい解説

ダンゴウオ
Lethotremus awae

カサゴ目ダンゴウオ科の海水魚。全長 3cm内外。体はほとんど球形で,尾部のみが側扁する。頭は大きく吻は短い。眼は大きい。頭の側面の 3対の感覚孔は管状を呈し,長く伸びてひげのように見える。腹鰭は合一して吸盤状になっている。体色は変異に富むが,普通一様に淡褐色である。静岡県下田から千葉県小湊,新潟県佐渡,中国のイエンタイ(煙台)に分布する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報