翻訳|Darjeeling
インド北東部、西ベンガル州北部の観光・保養都市。ネパール・ヒマラヤ山脈南東麓(ろく)の標高2248メートルに位置する。人口10万7530(2001)。地名はチベット語で「雷の町」を意味する。イギリス人が開いた避暑地で、ダージリン紅茶の産地として有名。快晴の日にはカンチェンジュンガ山(8586メートル)やエベレスト山(8848メートル)などのヒマラヤ山脈を望むことができるインド屈指の景勝地である。春と秋が観光シーズンで、夏は雨が多い。市内にはイギリス領時代の町並みが残り、ホテル、レストラン、市場など観光客相手の施設が軒を並べ、ロイド植物園、自然史博物館、ヒンドゥー教のディルダム寺院などがある。また、この町の市場は後背地としてネパールやチベットなどをもち、国際的な定期市の機能を果たしている。主要産品として紅茶のほかにカルダモン(コーヒーの香味に似た香辛料)、チンチョーラ(傷口の治療などに使われる薬草)、キニーネなどがある。南方11キロメートルにあるタイガー・ヒルはヒマラヤ山脈の展望台として有名。交通は、コルカタ(カルカッタ)から空路55分のバグドグラBagdograよりバスまたはタクシーで行くか、コルカタから鉄道でシリグリSiliguriまで行き、そこから狭軌の登山鉄道に乗る方法などがある。
[米田 巌]
インド北東部,西ベンガル州最北端の避暑地。人口10万7530(2001)。地名はチベット語のドルジェ・リンDorge Ling(〈雷電の土地〉の意)に由来する。シッキム・ヒマラヤ南麓の標高約2100mにある。1835年イギリス東インド会社がシッキム王より買収,在印イギリス軍の療養地として開発し,インド独立まで旧ベンガル州の夏の州都であった。麓のシリグリから〈おもちゃの汽車〉とよばれる小さな登山鉄道で達する。周辺の斜面には茶畑が広がり,ここで加工されてダージリン茶の名で出荷される。町は植民地時代の面影を残し,尾根上をほぼ南北にのびる。ヒマラヤ登山学校,ロイド植物園(1865設立)があり,南東郊のタイガー・ヒルからはカンチェンジュンガなどのヒマラヤの高峰が展望できる。
執筆者:応地 利明
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インド東部,西ベンガル州の北端にある避暑地。ヒマラヤ山脈の麓で,シッキム州との境界付近に位置する。1835年にイギリス東インド会社がシッキム国王から取得し,植民地期にイギリス人の避暑地として発達した。茶の生産地として有名。ネパール系人口が多い。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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