イギリスの作家,詩人,文人批評家。ロンドン生れ。不動産仲買人の子。セント・ポール私立中学を経て,ロンドン大学に学ぶ。友人E.H.ウィリアムズの主宰する出版社の《ブックマン》誌の書評子として20歳ごろからジャーナリズムに登場,その後も種々の雑誌でジャーナリストとして活躍するとともに,20世紀初頭には親友H.ベロックと政治の腐敗をつく雑誌《新証言》を創刊,カトリシズムの今日性を強く主張するとともに,社会主義に反対し,所有の集中を擁護した。この後もイギリスのカトリシズムの指導者として精力的に活躍し(正式にカトリックに改宗したのは1922年で,その遅さがむしろ奇異とされた),当時の進歩派,とくに進化論の影響の濃いG.B.ショー,H.G.ウェルズなどと数々の論戦をした。さらに詩,劇,小説,批評などにも,彼らに匹敵する警抜な着想と逆説的な筆法で縦横の活躍を示した。評論では彼のカトリック的な宗教観,政治観,社会観を説いた《異端》(1905),《正統》(1906)などがとくに有名であるが,この後も《ローマの復活》(1930)など晩年に至るまで論争的評論を数多く書いている。また小説でも,カトリックの司祭を探偵にして人気を博した〈ブラウン神父〉ものの連作(1911,14,26,27,35)や《ノッティング・ヒルのナポレオン》(1904)や《ドン・キホーテの帰還》(1922)などがあるほか,詩集では《白馬のバラッド》(1911)が有名。このほか《スティーブンソン》(1902)や《ディケンズ》(1906)などのすぐれた評伝も多い。
執筆者:鈴木 建三
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イギリスの作家。20世紀初頭のエドワード王朝期に、小説、随筆、評論、詩、劇などの各分野に健筆を振るい、その著作は生涯に100冊を超えた。1922年ローマ・カトリックに改宗。ベロックと並ぶカトリックの文筆指導者として、ショーやウェルズらと論戦を交わしたが、よき友人でもあった。彼の信仰表白は『アッシジの聖フランシス』(1922)、『永遠の人』(1925)、『聖トマス・アクィナス』(1933)などに詳しい。これとは別に、カトリック司祭の素人(しろうと)名探偵を主人公にした推理小説の連作、たとえば『ブラウン神父の無実』(1911)などで人気を博した。詩集には『白馬のバラッド』(1911)があり、評論ではブラウニング、ディケンズらビクトリア朝文学者に関するもの、とくに『文学におけるビクトリア朝』(1913)が著名。
[川崎寿彦]
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…決定版といえるのは人間の生理機能を逆利用したもので,ニーブンL.Niven《地球からの贈物》(1968)の主人公は,人間の瞳孔が注視のときには開き,そうでないときには閉じるという生理メカニズムを利用し,超能力で瞳孔を強制的に絞らせることによって,相手に対し不可視となる。また推理小説ではチェスタートンが《見えない男》(1911)で,犯人が郵便配達夫だったために目撃者の心理的盲点に入ってしまうという設定を考案している。【柴野 拓美】。…
※「チェスタートン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
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