チッタゴン(その他表記)Chittagong

デジタル大辞泉 「チッタゴン」の意味・読み・例文・類語

チッタゴン(Chittagong)

バングラデシュ南東部の都市ミャンマー国境に近く、ベンガル湾に注ぐカルナプリー川の河口に位置する。ジュート紅茶積出港であり、同国第二の規模をもつ商工業の中心地。第二次大戦のビルマ戦線で命を落とした連合軍兵士が眠るチッタゴン戦争墓地、チッタゴン大学、1981年に暗殺されたジアウル=ラーマン大統領の記念博物館などがある。チョットグラム

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改訂新版 世界大百科事典 「チッタゴン」の意味・わかりやすい解説

チッタゴン
Chittagong

バングラデシュ南東端,カルナフリ河口部北岸に位置する港市。人口220万(2001)。港は河口から約13km離れているが,外航船も入港しうる。メグナ河口にも近く,後背丘陵地帯だけでなく,ベンガルやアッサム地方の外港として古くから栄えてきた。現在の地名は,10世紀にここに建てられた戦勝碑の碑文〈ティツェゴンTsit Tse Gong〉に由来するが,ムガル帝国時代にはイスラマーバードIslamābādとよばれた。イギリス領時代にはカルカッタ勃興により発展が抑えられたが,1947年のインドとパキスタンの分離独立以後,港湾施設の拡充が進み,また工業開発の拠点として発展した。市は旧市を中心に北には住居地区,南と西には商業地区が広がる。そのまわりの南東,北東北西には,綿業,ジュート加工,皮革などの諸工業が立地する。市を離れた南西のパテンガ半島には,石油精製,製鉄化学肥料などの近代工場が並ぶ。平地部からの米,ジュート,丘陵部からの茶を集散し,輸出する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チッタゴン」の意味・わかりやすい解説

チッタゴン
Chittagong

ベンガル語ではチョトラグラム Chotragram (「16の村」の意) 。バングラデシュ南東部,カルナフリ川河口にのぞむ港湾都市。チッタゴン州の州都。チッタゴン県の行政庁所在地。 10世紀からアラブ水兵に知られ,のちポルトガル人がポルトグランデと呼んだ。 14世紀イスラム教徒が征服,1666年ムガル帝国のベンガル地方のナワーブの支配下に入った。 1760年からはイギリス東インド会社が支配,インドのアッサム地方開発の拠点となり,重要港として発展。 1947年のパキスタン独立以後さらに発展したが,71年のバングラデシュ独立戦争で荒廃,修復は 73年までかかった。現在はジュート,茶を主要輸出品とする同国の貿易港として繁栄。工業も盛んで,製鋼,肥料,化学,紡績,ジュート加工,製油などの工業地帯がある。チッタゴン大学,国際空港もある。人口 136万 3998,大都市圏 204万 663 (1991推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チッタゴン」の意味・わかりやすい解説

チッタゴン
ちったごん
Chittagong

バングラデシュ南東部にある同国最大の港湾都市。チッタゴン県の県都。カルナフリ川河口より12キロメートル上流の右岸に位置する。人口259万2400(2003推計)。地名はベンガル語で「16の村」という意味で、もとは漁村であったが、イギリス植民地時代にジュートや紅茶の積出し港として発展した。1960年以後、市の郊外に鉄鋼、レーヨン、紡績、医薬品などの工場が建設され、バングラデシュ第二の工業地帯を形成している。市の中心部には植民地時代の古い建物が建ち並び、丘陵地帯には行政機関が集中する。またチッタゴン総合大学や高等裁判所があり、空港は首都ダッカに次ぐ国際空港である。この地方はベンガル文化とミャンマー(ビルマ)のアラカン文化との接点で、特殊な方言が使われ、北方山岳地帯にはアジア系のチャクマ人、バルア人などの仏教徒が住む。

[桐生 稔]

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百科事典マイペディア 「チッタゴン」の意味・わかりやすい解説

チッタゴン

バングラデシュ南東部,カルナフリ川河口,ベンガル湾に臨む港湾都市。ジュート加工,鉄鋼,化学,機械工業などが盛んな新興工業都市。仏跡,ヒンドゥー教寺院が多い。背後の丘陵地帯にはチャクマ,マルマ,トリプラなどの少数民族が多い。259万2439人(2011)。

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