改訂新版 世界大百科事典 「チュバシ共和国」の意味・わかりやすい解説
チュバシ[共和国]
Chuvash
ロシア連邦のなかのチュバシ共和国(チャバシュ)Chuvashskaya Respublika-Chavash。旧ソ連邦では,ロシア共和国内のチュバシ自治ソビエト社会主義共和国を構成していた。ウラル山脈の西方,ボルガ川中流右岸に位置する。面積1万8300km2,人口131万3754(2002)。首都チェボクサリ。民族構成はチュバシ人が67.7%と多数を占め,それに次ぐロシア人は都市を中心にほぼ4分の1を成し,その他の民族はタタール人をはじめ数%にすぎない(1989)。気候は大陸性で1月の平均気温は-12.7℃,7月は19.3℃,年降水量は450~500mm。1920年6月にチュバシ自治州として成立,25年4月に自治共和国に昇格した。チュバシ人はチュバシ語を話す。民族的起源は必ずしも明確でないが,東方あるいは南東から移動してきたトルコ系民族と先住のフィン・ウゴル語系の民族との混血により,15世紀ごろに民族としてはっきり形成されたと考えられる。カザン・ハーン国の支配をうけたあと,1551年にロシアの支配下に組み入れられ,ロシア化,強制的なキリスト教化などの植民地支配にさらされた。ボルガ川流域の他の諸民族と同様,16~19世紀に何度も農民反乱という形で抵抗を示した(ラージンの乱,プガチョフの乱)。このような状況の中でレーニンの父I.N.ウリヤーノフがシンビルスク県の視学官として,チュバシ人の教育に尽力している。十月革命後はチェボクサリを中心に工業が伸び,電機・機械・化学工業が発展,農業面では畜産が奨励されている。
執筆者:青木 節也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報