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テュロス Tyros; Tsur

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

テュロス
Tyros; Tsur

チュロス,ツールとも呼ばれる。フェニキアの古代都市。地中海東岸にあり,元来は島の上にあった。聖書ではツロ。現在レバノンの一小都市となっており,スールと呼ばれる。古代ギリシアの歴史家ヘロドトスによれば,前 28世紀頃からこの町は存在したが,前 14世紀のアマルナ文書にもその王アビメレクの名が見出され,その後フェニキアの都市国家間の覇権を握ったばかりでなく,国外に植民地をも建設した。航海術,工芸,深紅色染料生産などの技術にすぐれ,カルタゴはその最も有名な植民地であった。旧約聖書にみられるようにイスラエルとの交渉も多く,ダビデ,ソロモン時代には,テュロスの王ヒラムによってイスラエルとの友好関係が維持され,その高度の技術がイスラエルに導入された。またアハブ王 (在位前 875~852) はテュロスの王女イゼベルと結婚し,その結果イスラエル王国に異教が導入されることにもなった。新約聖書にもこの町は登場するが,636年にイスラム教徒によって征服され,十字軍による占領,さらにアラブ人による奪回を経た。現在残る主要な遺跡はローマ帝政期以後のものである。 1984年世界遺産の文化遺産に登録。

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百科事典マイペディアの解説

テュロス

シドンと並ぶ古代フェニキア港市。現在名スールSur,聖書ではツロ。前16世紀から紫色染料(貝紫シリア紫)の積出港,イスラエルとの交易カルタゴ植民などで繁栄,前8世紀アッシリアに征服されて覇権を失い,以後諸国に服属

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世界大百科事典 第2版の解説

テュロス【Tyros】

フェニキアの海港都市。現在名スール。聖書ではツロと記される。旧約聖書などの古代文献により,エジプトやソロモン王との交易,カルタゴ植民など王政下での繁栄が伝えられ,とくに巻貝からとる深紅色染料(貝紫,シリア紫)の産地として有名。前332年アレクサンドロス大王が攻略,市街のあった出島陸続きとし,市民8000人を殺し,3万人を奴隷としたという。前274年以後は貴族たちの下に共和政の都市として存続,セウェルス帝によってローマ植民市の資格を受けた。

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世界大百科事典内のテュロスの言及

【スール】より

…1960年代は1万人以上の人口を擁し(1969年1万5000人),その大部分がシーア派イスラム教徒でキリスト教徒が少数派。商港としての繁栄はテュロスとよばれた古代から有名で聖書にも出てくるし遺跡も多い。近年はアラブ・イスラエル関係が悪化したことで重要度が急減している。…

【フェニキア】より

…フェニキア人という名称はギリシア語フォイニケスPhoinikes(ラテン語では主としてカルタゴ人を意味するポエニPoeni)であり,その意味はキナフと同様である。ギリシア人の伝説によると,テュロス王アゲノルAgēnōrの子の一人にフォイニクスPhoinixがい,そこからフェニキアという地名が起こったとされる。
[初期の歴史]
 考古史料によると,カルメル山の山腹の洞窟には旧石器時代後半からナトゥフ時代(ナトゥフ文化)にかけて狩猟民が住み,しだいに原始的な定住と農耕に向かいつつあった。…

※「テュロス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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