シドン(その他表記)Sidōn

デジタル大辞泉 「シドン」の意味・読み・例文・類語

シドン(Sidon)

古代フェニキア都市国家。前13世紀ごろから地中海海上権を握り、商工業が栄えたが、前1100年ごろのアッシリアによる破壊以後衰えた。現在のレバノンサイダにあたる。

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精選版 日本国語大辞典 「シドン」の意味・読み・例文・類語

シドン

  1. ( Sidon ) フェニキア最古の都市。前一三世紀から地中海の海上権を握り、商工業が栄えた。前一一〇〇年アッシリアに敗れてティルス覇権を譲り、ついでエジプトアレクサンドリアに服属した。現在のレバノン共和国のサイダにあたる。

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改訂新版 世界大百科事典 「シドン」の意味・わかりやすい解説

シドン
Sidōn

テュロスと並ぶフェニキアの海港都市。現在名サイダーで,レバノン南西部にある。古来,商業都市として繁栄し,シリア,パレスティナの内陸部への植民も行った。考古遺跡は前4千年紀にさかのぼる。〈アレクサンドロス大王石棺〉と呼ばれる出土物で有名。前351年に反乱を起こして鎮圧されたペルシア帝国時代を含めて王政下にあったが,前3世紀初頭以後は貴族たちの下に共和政。のちエラガバルス帝によって,ローマ植民市の資格を受けた。産業は巻貝からとれる深紅色染料(貝紫シリア紫)を使った染色業のほか,前1世紀には世界で最初の吹きガラスの製造が行われたとされる。
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百科事典マイペディア 「シドン」の意味・わかりやすい解説

シドン

フェニキアの港市。現在名サイダーガラス工芸・染色業で栄え,前12世紀ごろより東部地中海を支配,しばしばテュロスと覇権を争った。東方貿易の重要地点を占めるためしばしば諸国に征服されたが,その繁栄は十字軍時代まで続いた。
→関連項目ガラス工芸フェニキア

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「シドン」の解説

シドン
Sidon

地中海東岸に位置する,ティルスと並ぶ古代のフェニキア人の中心都市。現在のレバノンのサイダー。海港都市としてのみならず,ガラス細工や紫の染色などでも名高い。アッシリア新バビロニア攻撃によって政治的独立を失った後も,良港として存続し,十字軍の遠征に際しては,イスラーム軍との争奪の的になった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シドン」の意味・わかりやすい解説

シドン
しどん
Sidon

レバノンにある港市、サイダの旧名。

[編集部]

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旺文社世界史事典 三訂版 「シドン」の解説

シドン
Sidon

レバノン南西部,地中海沿岸にあった古代フェニキアの都市国家。現在の名称はサイダ
前14〜前13世紀に栄え,フェニキア諸市の指導権を握った。のちアッシリア・新バビロニア王国に占領され,十字軍時代には戦場となった。13世紀にはイスラーム勢力・モンゴル民族に破壊され,17〜18世紀にはトルコの商業中心地であった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シドン」の意味・わかりやすい解説

シドン

「サイダ」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のシドンの言及

【サイダー】より

…人口3万8000(1988)。古代名はシドン。7世紀前半にアラブ・イスラムの支配下に入り,1516‐1918年の間はオスマン帝国下にあった。…

【フェニキア】より

…フェニキアでは土着カナン人の勢力が存続し,アラム人,ヘブライ人,ギリシア人の発展とともに,植民,交易,航海によって新たな発展期を迎えた。まず,前代に繁栄したビュブロスやウガリトに代わって,アラドゥスAradus(アルワドArwad),テュロス(聖書ではツロ),シドンなどの都市が現れた。ホメロスの作品には,シドンのみがみられるが,前750年ころまでのフェニキアの中心都市はテュロスであった。…

※「シドン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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