テレジオ(読み)てれじお(その他表記)Bernardino Telesio

デジタル大辞泉 「テレジオ」の意味・読み・例文・類語

テレジオ(Bernardino Telesio)

[1508~1588]イタリア哲学者アリストテレス哲学に反対し、熱と冷という二つ原理によってあらゆる事柄を説明しようとした。

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精選版 日本国語大辞典 「テレジオ」の意味・読み・例文・類語

テレジオ

  1. ( Bernardino Telesio ベルナルディーノ━ )[ 異表記 ] テレージョ イタリアの哲学者。近代経験主義の先駆者アリストテレス自然学に反対し、熱と冷の二原理から自然現象を説明しようとした。主著「その固有な原理からみた事物本性について」。(一五〇九‐八八

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「テレジオ」の意味・わかりやすい解説

テレジオ
てれじお
Bernardino Telesio
(1509―1588)

イタリア・ルネサンス期の哲学者。南イタリアのコゼンツァに生まれる。ミラノ叔父からラテン語とギリシア語を習い、ついでパドバで自然学、哲学、医学を学んで、1535年に学位を得る。その後徐々に自己の体系を築き、主著『その固有な原理からみた事物の本性について』を書く。1565年ローマで最初の2巻が、1586年ナポリで全6巻が出版された。

 自分以前に自然を研究したものは、その理論と自然所与との矛盾、理論相互間の対立からもわかるように、むだな時間と苦労を費やしたとみる。それは、哲学者たちが「世界の原理を理性で求めている」と自負しながら、「幻想で仕事をし、神の作品を変形している」からだとする。とくにアリストテレスに反対し、感覚に基づいて自然をありのままに追うだけで、人間の知はその任務頂点に達することができると考える。感覚によれば、太陽その他の天体は熱をもち、土は冷を生むことから、「熱」と「冷」を第一の原理とし、土すなわち物質に内在するこの「熱」と「冷」という二つの原理によって、人間(認識、倫理)を含めたあらゆる事柄を説明しようとした。このような立場にたちながらも、キリスト教信仰に矛盾を感じることなく、精神的実体としての人間の魂や神の存在を認めた。この自然主義的な考え方は、ブルーノカンパネッラなどの思想に大きな影響を与えた。

[大谷啓治]

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改訂新版 世界大百科事典 「テレジオ」の意味・わかりやすい解説

テレジオ
Bernardino Telesio
生没年:1509-88

ルネサンス期イタリアの代表的自然哲学者。南イタリアのコゼンツァに生まれたが,幼いときに故郷を後にしてナポリに移り,さらにベネチア,パドバで勉学の後,ベネディクト派修道院で冥想生活をつづける。コゼンツァの大司教に推薦されたがこれを断り,同地のアカデミーに腰を落ちつけて研究活動に没頭した。主著《固有の原理からみた自然の本性について》(1565)は,スコラ的アリストテレス主義に対立して,感覚的経験にもとづく自然観を展開し,近代経験主義の先駆者となった。すなわち,あらゆる存在の根源は〈物体のかたまり〉であり,それに内在する〈熱〉と〈冷〉とによって運動を生ずる。精神活動もその延長上にある。この考えは後世しばしば唯物論の先駆として評価されたが,彼の説く根源物質は有機的生命的なものであり,むしろ汎心論に近く,その点でルネサンス自然哲学の典型をなすものである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テレジオ」の意味・わかりやすい解説

テレジオ
Telesio, Bernardino

[生]1509. コセンツァ
[没]1588.10. コセンツァ
イタリアの自然哲学者。中世流のアリストテレス主義による自然観を排撃して経験論的立場に立つ自然学を主張し,近代自然観の先駆者の一人となった。パドバ,ローマなどで学んだのち,ナポリに「アカデミア」を創設し,哲学,数学,自然科学などを教授。テレジオは,人間の感覚的な経験を自然認識の源泉とし,「冷と熱」の2原理を自然現象の基礎におくとともに,自然全体を自然以外のものによらず,事物そのものに内在する原理によって究明すべきだとした。この考えは G.ブルーノや T.カンパネラに影響した。主著『固有原理からみた事物の本性について』 De rerum natura juxta propria principia (1565~86) 。

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