テンシャン山脈(読み)テンシャンさんみゃく(その他表記)Tian Shan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テンシャン山脈」の意味・わかりやすい解説

テンシャン(天山)山脈
テンシャンさんみゃく
Tian Shan

中国シンチヤン(新疆)ウイグル(維吾爾)自治区からキルギスにかけて西南西―東北東に連なる山脈。多数の山脈によって構成され,長さは 2500km,幅は 350~500km。北方にはジュンガル(準噶爾)盆地バルハシ湖低地,南方にはタリム(塔里木)盆地が広がり,南西はパミール高原に続く。両国の境には最高峰のポベーダ峰(7439m)やハンテングリ山(6995m)があり,これらの山塊を境に東天山と西天山に分かれる。多くの山が万年雪を戴き,氷河も発達している。古期造山帯に属する山地が準平原化(→準平原)したのち新第三紀末の断層運動で再び隆起したもので,フェルガナ盆地ナルイン川河谷,イスイククリ湖トゥルファン(吐魯番)盆地イリ(伊犁)盆地などの構造盆地縦谷が発達している。中腹では最も乾燥した東部でも年降水量は 500mmをこえ,トウヒ,モミ,カラマツなどの森林が繁茂する。ステップ牧畜に利用される。山麓は雪解け水によって地下水が涵養され,オアシスでは古くから農耕が行なわれる。また,東西交易の隊商路としても利用された。2013年に東天山の 4地域(いずれも中国)が新疆天山として,2016年には西天山の 7地域(ウズベキスタンカザフスタン,キルギス)が西天山として世界遺産自然遺産に登録された。

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