ディスティラーズ(読み)でぃすてぃらーず(英語表記)The Distillers Co., Ltd.

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディスティラーズ」の意味・わかりやすい解説

ディスティラーズ
でぃすてぃらーず
The Distillers Co., Ltd.

イギリスの酒造会社。1986年酒類メーカーのギネスGuinness plc(現、ディアジオDiageo plc)に買収され、その傘下に入った。

 ディスティラーズは1877年グレンウイスキー製造の6社が合同して成立。資本金は200万ポンドで、スコットランドエジンバラに本社を置いた。このころ、麦芽原料モルトウイスキートウモロコシなどを原料とするグレンウイスキーのブレンド技術が開発され、市場は急速に拡大した。第一次世界大戦後、ジョン・ヘイグ、ブキャナン(ブラック・アンド・ホワイトのブランド)、ディワー、ジョン・ウォーカー(ジョニー・ウォーカーのブランド)、ホワイト・ホース、サンダー・アンド・サンズ(バット69のブランド)などを次々に買収し、第二次世界大戦中にはクロフォードを傘下に収めた。ディスティラーズはスコッチウイスキーを中心とする蒸留酒製造のトップ企業であった。1984年の売上高は11億3400万ポンドで、スコッチウイスキー48%、ウォツカその他酒類36%、その他16%。海外の売上げ比率は68%を占めた。

[湯沢 威]

『Ronald B. WeirThe history of the Distillers Company, 1877-1939 ; diversification and growth in whisky and chemicals (1995, Oxford University Press, Oxford)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディスティラーズ」の意味・わかりやすい解説

ディスティラーズ
The Distillers Co., Ltd.

イギリスの酒造会社で,スコッチウイスキーの代表メーカー。 1877年6つのウイスキーメーカーが統合して設立。ブドウネアブラムシ虫害で世界的にワインが欠乏した 80年代からウイスキーの需要増大につれて発展するとともに,多くの中小蒸留所を買収して急成長した。さらに第1次世界大戦後,業界の安定をはかって当時ビッグ・ファイブと呼ばれたジョニー・ウォーカー,ジョン・ダワー,ホワイト・ホース,ブラック・アンド・ホワイト,ジョン・ヘイグの5社を次々に合併 (1927) ,さらにオーストラリア,カナダにも子会社を設立,最大のウイスキー・トラストを形成。その後もアメリカ,スペイン,ジャマイカアフリカにも醸造工場を建設するなど世界各国に子会社多数をもった。ウイスキーでは「ジョニー・ウォーカー」「ホワイト・ホース」「オールド・パー」「ブラック・アンド・ホワイト」「ヘイグ」「ダワース」など著名なブランドのほか,ジン (「ゴードン」) ,ウォツカ,製パン業者用イースト,冷凍食品,炭酸,ガラス容器・食器などの製造,販売を行なった。 86年ギネスに買収された。

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