デキストリン(英語表記)dextrin

翻訳|dextrin

デジタル大辞泉 「デキストリン」の意味・読み・例文・類語

デキストリン(dextrin)

でんぷんを加水分解したとき、麦芽糖になるまでの中間過程でできる種々の生成物総称。白から黄色の粉末。粘着力が強く、のりとして利用。糊精こせい

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精選版 日本国語大辞典 「デキストリン」の意味・読み・例文・類語

デキストリン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] dextrin ) 澱粉が加水分解をうけて麦芽糖になるまでの中間物質の総称。セルロースなどの多糖類の分解の途中の物質にもいうことがある。糊精(こせい)

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改訂新版 世界大百科事典 「デキストリン」の意味・わかりやすい解説

デキストリン
dextrin

デンプンを酸またはアミラーゼ類で加水分解すると,最終的にはグルコースとなるが,その途上で,さまざまな分子量の中間生成物が得られる。これらを総称してデキストリンという。そのうち,分子量1万程度のものをアミロデキストリン,分子量7000程度のものをエリスロデキストリン,分子量4000程度のものをアクロデキストリンと呼び,ヨード反応による呈色はそれぞれ青藍色,赤褐色,淡褐色である。デンプンをβ-アミラーゼで加水分解すると,デンプン分子の分枝点(1,6-グルコシド結合点)で分解が止まってしまい,分子量15万程度の未分解物が残る。これをβ-リミットデキストリンという。最近注目されているものにシクロデキストリン(CDと略す)がある。これは,微生物が生産するCD合成酵素をデンプンに作用させると生じる環状少糖類で,グルコースが6個から成るα-CD,7個から成るβ-CD,8個から成るγ-CDの3種が知られている。

 デキストリン類は一般に水に溶けやすく,食品素材,微生物培地,糊料(こりよう),衣服の仕上げなど広範な用途をもっている。CDは種々の化合物クラスレート化合物を形成し,これらが熱,光,酸素などによって分解するのを防ぐ能力をもつため,医薬品成分や食品成分の安定化剤として利用される一方,食品の呈味改良剤として活用される可能性も見いだされている。
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化学辞典 第2版 「デキストリン」の解説

デキストリン
デキストリン
dextrin

デンプンを化学的あるいは酵素的方法で低分子化したものの総称.工業的には,塩酸などの存在下,粉末状態(水分約10%)で加熱(120~160 ℃)して得られるばい焼デキストリン(白色または黄色デキストリン)をさす場合が多い.この過程で,デンプン分子は部分的加水分解を受けるとともに,再結合による枝分れが多くなると考えられている.可溶性デンプンは短時間低温加熱して低分子化した白色デキストリンで,粘性が高いので接着剤に用いられる.より高温(150~200 ℃)処理した黄色デキストリンはかろうじて水に溶け,粘度も低い.セルロース系素材の接着,水溶性フィルム,練炭モルタルの粘結剤,染料や医薬品の希釈剤,セメントの硬化遅延剤などに利用される.そのほか,デンプンの枝分れ成分であるアミロペクチンにα-アミラーゼを作用させると,枝分れを残したα-限界デキストリン(重合度7~8)が,またβ-アミラーゼを作用させると2~3個のグルコース残基の枝をもつβ-限界デキストリンが得られる.また,Bacillus maceransなどの特殊なグルコシルトランスフェラーゼを作用させてシクロデキストリンが得られる.[CAS 9004-53-9]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「デキストリン」の意味・わかりやすい解説

デキストリン
できすとりん
dextrin

糊精(こせい)ともいう。デンプンを酸、熱、酵素などで加水分解するときに生ずる中間生成物で、デンプンより分子量の小さい多糖の総称。アミロデキストリンともいう。デンプンをわずかに分解した高分子量のものから、ヨウ素デンプン反応を呈しない低分子量のものまで、広範囲のものが含まれる。生体内では唾液(だえき)や小腸内の細菌によってデンプンからデキストリンを生ずる反応が行われる。工業的には、おもに加酸焙焼(ばいしょう)法が行われている。

 なお、デンプンの酸や酵素による加水分解で生じたデキストリンはデンプンとほぼ同様に消化吸収されるが、焙焼デキストリン(ピロデキストリン)には消化酵素で分解されにくい結合をもつものがある。また、製法によって分岐度の異なるデキストリンが得られ、市販品には白色、淡黄色、黄色の3種がある。白色デキストリンは冷水に40%以上、温水には完全に溶ける。主として絹物などの織物の仕上げ糊(のり)、あるいは錠剤の賦形剤として用いられる。淡黄色および黄色デキストリンは冷水に完全に溶け、粘度が低く、用途が広い。すなわち、切手や封筒などの裏糊、事務用糊など各種の接着剤、水性塗料、製薬の調合や薬品の賦形剤、練炭の粘結剤などにも使われる。

[村松 喬・不破英次]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デキストリン」の意味・わかりやすい解説

デキストリン
dextrin

糊精ともいう。デンプンを酸または酵素の作用で加水分解するとき,デンプンから麦芽糖にいたる中間段階の種々の加水分解生成物ができる。これらを総称してデキストリンという。薬局方でデキストリンというのはデンプンを加熱,または酸加水分解あるいはジアスターゼ加水分解して得られる粗デキストリンを水に溶かし,アルコールで沈殿させて精製したものである。可溶性デンプンもデキストリンの一種である。白色ないし淡黄色の非晶性の粉末または細粒で,やや甘味がある。水に徐々に溶け,熱水にはすみやかに溶ける。糊剤,乳化剤,製剤用希釈剤に使用される。

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百科事典マイペディア 「デキストリン」の意味・わかりやすい解説

デキストリン

糊精(こせい)とも。デンプンがアミラーゼまたは酸で加水分解され麦芽糖になる過程で生ずる中間物質の総称。白色あるいは黄色の無定形粉末。分解程度により,可溶性デンプン,アミロデキストリン,エリスロデキストリン,アクロデキストリンなどに区別される。水に溶けると糊状になるものが多く,接着剤,糊料,賦形剤などに利用される。
→関連項目アミラーゼ

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栄養・生化学辞典 「デキストリン」の解説

デキストリン

 ⇒糊精

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