デンマークのナハテガルFranz Nachtegall(1777-1847)はドイツのJ.C.F.グーツ・ムーツの影響を受け1799年に体操学校を創立し,機敏性,規律ある行動を養う体操を考案した。帆船に乗る水兵の訓練に向くもので,左右の腕脚のテンポをずらせて動かす運動は現在も知られている。1880年代になるとP.H.リングによるスウェーデン体操がとり入れられるようになったが,1920年に体操学校を開いたブックNiels Bukh(1880-1950)はその長所を生かし,農村生活に適する体操を考案,10種の運動からなる〈基本体操〉として発表した。これは青年男子の保健を配慮し,筋肉の強化と柔軟性,運動による神経路の訓練,合理的法則に従った運動を特徴とし,ここにリズミカルで力強いデンマーク体操が確立した。ブックは31年に世界各地をめぐってその普及につとめ,来日して日本の体操にも大きな影響を与えた。
執筆者:青山 敏彦
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デンマーク体操は、その父ともよばれるナハテガル(1777―1847)によって始められ、ブック(1880―1950)が大成した。すなわち、最初はドイツ体操に出発し、途中からスウェーデン体操の影響を受け、それぞれの長所を取り入れ欠点を補充した優れた民衆体操である。ブックは、農村青年の身体の矯正・改善・発育促進のため、体操の目的を柔軟性・筋力・巧緻(こうち)性の養成の三つにおいて、徒手体操を中心とし、これを補足するために必要な器械体操を採用した。
その特徴は、(1)全身の均整的な柔軟性を得るために、振動形式による最大限の運動を要求した、(2)運動が練習者の能力に従って漸進的に向上するように段階を設けた、(3)一連の徒手体操の間に、唱歌遊戯やダンスのステップを取り入れた、(4)体操が連続的に行われ、しかも全運動がリズミカルに実施できるよう、号令のかけ方、誘導運動の挿入がくふうされている、などである。
[上迫忠夫]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…力強くかつ俊敏で,連続的な動きを特色とし,2人組みの相方の補助による負荷や器具使用による可能な限りの運動も要求し,一連の動きの間に歌唱を取り入れることもある活気ある集団体操である。エリートチームを率いた世界各地での模範演技の旅と相まって,新しいデンマーク体操として国際的に波及した。しかし,第2次世界大戦中のブックのナチズムへの関与が,戦後彼のスターとしての地位を急落させた。…
※「デンマーク体操」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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