近代体育の創始者。ドイツ、プロイセンの生まれ。ザルツマンの汎愛(はんあい)学校で、50余年にわたり体育を指導しながら、従来の運動を再構成し、近代学校体育を確立した。彼の体育思想はその著『青年の体操』に展開されている。すなわち、将来の人間は「精神的文化と結合した身体の完全」を企図すべきで、「体操は身体の完成を究極の目的とする身体運動の一系列で、身体の完成は持久力と力と敏捷(びんしょう)さと美しさによってなされる」と記している。この定義に即してドイツ体操を発展させた人がヤーンであり、合理的体操を展開させた人がリングである。
[上迫忠夫]
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…全人教育のための運動学習の意義はルネサンスの思想家によって注目されていたが,これを強調したのはロック,ルソー,ペスタロッチらの近代教育思想家であった。これらをうけて近代的な学校体育がドイツの汎愛(はんあい)学校で始まり,そこの教師グーツムーツは〈男子市民体育〉の最初の近代的体育指導書《青少年の体育》(1793)を出版した。女子の体育指導書が出るのは19世紀の前半であった。…
… 近代に入って,ヨーロッパのヒューマニストたちも,体操ということばをほぼギリシアの用例に従って用いた。その代表的文献がグーツムーツの《青年のための体操》(1793)である。ここで体操とは,健康で明るい市民生活を営む能力を身につけるために,いろいろな運動を体系づけ,方法化することであり,走・跳・投,レスリング,運搬,水浴など,あらゆる自然的な運動が体操の内容となった。…
※「グーツムーツ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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