翻訳|Danish
デンマーク王国の公用語であり,約509万人(1977)により使用される。デンマーク語はゲルマン語派の中の東ノルド語に属し,歴史的に古デンマーク語(1525ころまで)と近代デンマーク語(1525ころ以後)の二つの時期に区分される。デンマーク語の最古の記録は新ルーン文字による9世紀以降の碑文であり,最古のラテン文字による記録としては,14世紀の各地方の法律写本が残されている。
古デンマーク語の時代には,母音の後の子音p,t,kのb,d,gへの変化,声門閉鎖音の出現などデンマーク語特有の音韻現象,また,ハンザ同盟の進出に伴う低地ドイツ語からの商工業に関する語彙の大規模な借用が起こっている。1397年よりデンマークはノルウェーと連合関係に入り,その結果,デンマーク語は支配者の言語としてノルウェーにおける行政・教会など公的な領域でノルウェー語に取って代わるようになった。16世紀の宗教改革の時代,聖書のデンマーク語訳《クリスティアン3世欽定訳聖書》(1550)は文語の統一に向けて大きな力を及ぼし,18世紀以降,J.L.ホルベアをはじめとする多くの作家たちは文語の規範の確立に貢献した。
19世紀後半以来,デンマークでは数次にわたり正書法の改正が行われたが,1948年の改正において,名詞の大文字書きの廃止,長母音を示す母音の重複aaのåによる置換えが行われ今日にいたっている。
執筆者:斎藤 治之
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…ラテン文字による記録では,12世紀後半以降の法律,宗教,歴史などに関する写本が残されており,その中でも特に重要なものは,13世紀中ごろの教訓的内容をもつ《王の鑑(かがみ)》である。 ノルウェー語は,14世紀の中ごろから,スウェーデン語,デンマーク語と同様に,名詞・動詞の屈折体系の崩壊と語順の固定化などの言語的変化を経て,それまで多くの共通性をもっていたアイスランド語と決定的に分離した。1397年からノルウェーはデンマークと連合関係に入り,その結果,デンマーク語が行政・教会などあらゆる公的な領域でノルウェー語に取って代わり,ここにノルウェーにおける文語(=デンマーク語)と口語(=ノルウェー語)との間には大きな断絶が生じることになった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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