トネリコバノカエデ(読み)とねりこばのかえで

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トネリコバノカエデ」の意味・わかりやすい解説

トネリコバノカエデ
とねりこばのかえで / 土禰利古葉楓
[学] Acer negundo L.

カエデ科(APG分類:ムクロジ科)の落葉中高木。葉は3~5枚、まれに7~9枚の小葉をもつ羽状複葉で、対生する。小葉は長さ5~12センチメートル、幅2~7センチメートルの卵状楕円(だえん)形で、浅く3裂するものもあり、縁(へり)に少数の粗い鋸歯(きょし)がある。冬芽の鱗片(りんぺん)は普通は3対。雌雄異株。花は淡黄緑色の小花で、4月ころ、葉よりすこし早く側芽から下垂する細い花序に総状の雌花序または複総状の雄花序につける。花弁は退化してなくなり、萼片(がくへん)は4~5枚、雄しべは4~6本で雄花だけにある。果実は2翼があり、秋に熟す。北アメリカ温帯に広く分布する。カエデ類のなかでは本種だけが挿木で容易に繁殖し、成長が早く、またじょうぶなので、世界の温帯各地に植えられているが、枝張りが悪く、庭園樹、街路樹としてはあまり見栄えがしない。名は、モクセイ科トネリコに似た葉をもつカエデの意味である。

緒方 健 2020年9月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トネリコバノカエデ」の意味・わかりやすい解説

トネリコバノカエデ
Acer negundo; box elder

カエデ科の落葉高木で,北アメリカの中部から東部に広く分布する。ネグンドカエデともいう。高さ 10~20mの高木になり,対生する葉は羽状複葉で5~8cmの楕円形の小葉を1~3対つける。雌雄異株で,雄花は束状に,雌花は総状花序をなしてつく。生長が速く,日陰を得るための緑陰樹として植えられる。日本でも札幌をはじめ北地の街路樹として広く栽植されている。

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