トミズム(英語表記)Thomism

翻訳|Thomism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

広義ではトマス・アクィナスの哲学,神学説と,トミスト (トマス説をとる学者) たちによるトマスの体系への注解,理論的展開とに対する総称。 1278年以後トミズムはドミニコ会の理論的中核となり,スコツス説やオッカム説と並ぶ思潮となった。中世末期の代表的トミストは J.カプレオルス,枢機卿カエタヌスである。 16世紀にはスペインが中心であり,代表者にスアレス,ヨハネス・サンクト・トマらがいる。しかし恩恵論争モリニズムと対立したサラマンカのバニェスらの物理的先動説のみを,狭義でトミズムと呼ぶこともある。 19世紀末のスコラ学復興運動のなかでは,1879年の回勅エテルニ・パトリス」によって有利な地位を与えられ,20世紀前半に多くの学者を生んだ。この時期のものをネオトミズムという。

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百科事典マイペディアの解説

トマス・アクイナスの思想体系,および後世におけるその解釈と展開,さらにはトマスの教説を奉じる学派をいう。後2者の意味におけるトミズムの歴史にあっては,ヨハネス・カプレオルス,カエタヌス,ビトリア,スアレス,ヨハネス・ア・サンクト・トマスらの業績が重要。とりわけ教皇レオ13世の回勅(1879年)をきっかけとするトマス再興の気運はカトリック哲学界の有力な運動となり,これを〈新トミズム〉〈新スコラ主義〉と称することもある。J.マリタンとE.ジルソンが高名。
→関連項目スコラ学マリタン

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世界大百科事典 第2版の解説

トマス・アクイナス自身の哲学・神学体系,および後世の人々によるトマスの基本的立場ないし学説の体系的解明および展開をさしていう。トマスがアリストテレス,新プラトン主義哲学,アウグスティヌスをはじめとする教父たちの思想,アラビアおよびユダヤの哲学思想などを総合してつくりあげた独自の哲学思想は,同時代人および直後の世代の理解を超えるものであった。13世紀の終りにかけてドミニコ会とフランシスコ会神学者,およびガンのヘンリクスとアエギディウスロマヌスの間でトマスの学説をめぐって論争が行われたが,前者は神学的正統・異端に関する争いであり,後者はトマスにおける〈存在esse〉と〈本質essentia〉との区別の誤解にもとづく論争であった。

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大辞林 第三版の解説

トマス=アクィナスの思想・学説。自然と超自然との調和を説き、認識論では実在論の立場をとる。トマス説。 → ネオトミスム

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (Thomism) トマス=アクィナスおよびその継承者の神学・哲学説。神と、人間の中の霊的存在を認める実在論で、一九世紀以後カトリック教会内の主流神学をなした。

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