日本大百科全書(ニッポニカ) 「トラフグ」の意味・わかりやすい解説
トラフグ
とらふぐ / 虎河豚
[学] Takifugu rubripes
硬骨魚綱フグ目フグ科に属する海水魚。北海道以南の各地、および黄海、東シナ海に分布する。体の背面と腹面に小棘(しょうきょく)がある。体の背側は暗青色で小黒斑(こくはん)が散在し、腹側は白い。胸びれ後方の体側に白く縁どられた大きな黒紋がある。幼魚では背面に白い虫食い紋様がある。背びれと尾びれは暗青色、胸びれは白く、臀(しり)びれは赤い。全長は70センチメートルに達し、食用になるフグ類のなかでは大形種である。
東シナ海では底延縄(そこはえなわ)で漁獲される。産卵期は3~5月で、卵は沈性粘着卵である。春生まれたものは、秋には20センチメートル、満1年で25センチメートル、満2年で35センチメートル、満3年で産卵する。最近は養殖も盛んに行われている。毒性は季節や個体により差があるが、12月~翌年6月に毒性が強くなり、有毒個体の割合も高くなる。肝臓、卵巣に強毒があり、肉、皮膚、精巣は無毒。フグ料理の最高級品として扱われるほか、フグ提灯(ぢょうちん)として土産(みやげ)物にもされている。
[松浦啓一]