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トランスナショナリズム transnationalism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

トランスナショナリズム
transnationalism

領土主権国家でもある国民国家を唯一最高の構成単位,行為主体としている今日までの国際社会の現状を,漸進的,部分的に改変していこうとする脱国家的,超国家的な理念や動き。近代ヨーロッパに発生した国民国家体系は国際社会の組織原理として,今日,全世界に拡大した。それぞれの国民国家が各自の利益を追求していけば,人類の平和,安全,繁栄などの価値が最高度に実現されるとするナショナリズム,パロキアリズムの主張に対して,国民国家体系はまさにそうした価値の実現を阻害すると考えるのがトランスナショナリズムの立場である。しかし,一挙に国家を超越する単一権力を樹立すべきであると主張しないところは,世界政府論などと異なる。今日,世界の相互依存関係が増大しているため,特に経済面,文化面においてトランスナショナルな活動が顕著になっており,トランスナショナリズムの主張はいくぶんかの現実味を帯びるようになった。経済面では多国籍企業が最もよくそうした兆候を代表しており,国家もトランスナショナルな経済活動を不可欠とみるようになっている。文化面でも市民個人や民間団体の国家から離れた国際活動が活発となり,新しいトランスナショナルな価値観が生れつつある。

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世界大百科事典 第2版の解説

トランスナショナリズム【transnationalism】

1960年代末ごろからJ.S.ナイやE.L.モースらによって提唱された概念で,国際社会を考えるに当たって従来の国家単位ではとらえきれなくなったために,トランスナショナルな関係transnational relations(〈脱国家関係〉,〈民際的関係〉と訳されることもある)やトランスナショナルな組織transnational organizationの重要性の増大が指摘された。トランスナショナルな関係とは,ある国の民間の個人・団体と他国の民間の個人・団体あるいは政府との間で形成される関係のことで,その典型は,私企業間で行われる貿易や私人間の国境を越えた通信などに求めることができる。

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