ドイツ経営学(読み)ドイツけいえいがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドイツ経営学」の意味・わかりやすい解説

ドイツ経営学
ドイツけいえいがく

ドイツで発展した経営学の流れをいう。広義には少くとも経営経済学,経営組織学,経営社会学の3つの流れから構成される。最も伝統が古く,今日でも主流となっているのは経営経済学で,商業に関する実践的諸知識のモザイク的集成にすぎなかった古くからの「商業学」を M.ワイアーマンと H.シェーニッツが一つの科学としてまとめ上げようとして提唱した「私経済学」が大きな基礎となっている。私経済学を国民経済学のうちの単なる1部門とみなす彼らの考え方は,当時科学的基礎を固めつつあった技術論としての私経済学の主張と対立し,論争が展開され,その渦中から H.ニックリッシュの独立的な理論的私経済学の提唱,E.シュマーレンバハの技術論的私経済学の主張など,特色のある私経済学が成立した。第1次世界大戦終結の頃から私経済学は経営経済学と名称を改めたが,その後さらに E.グーテンベルクによって代表される新しい理論学派と,シュマーレンバハと彼の技術論的経営経済学を継承,展開した K.メレローウィチらの学派が台頭し,第2次世界大戦後のドイツ経営学の2つの主流をなすにいたった。グーテンベルクの学派は,近代経済学の分析用具たる数理的方法を導入することによって企業活動に生じる現象における関数的法則を明らかにしようとしたところに特徴が見出せる。そのほか H.ウルリヒらによる企業における労働過程,組織に関する研究をその中心内容としている経営組織学,G.ブリーフスに始る企業の大規模化,機械化に伴う労働問題を扱った経営社会学の2つも現代ドイツ経営学を構成する重要な分野である。

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世界大百科事典(旧版)内のドイツ経営学の言及

【経営学】より

…会計学の諸分野も,企業活動における資金の流れの側面を会計的手法によって分析する。【土屋 守章】
【ドイツ経営学】
 ドイツでは経営学は一般に経営経済学Betriebswirtschaftslehreと呼ばれている。それは,管理論の対象を公・私の企業はもちろんのこと,行政,教育,軍隊,教会,労働組合などさまざまな組織にまで拡張しようとするアメリカ経営学に対し,当初は少なくとも私企業(株式会社)のみを対象としていたことに特徴がある。…

※「ドイツ経営学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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