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ドキュメンタリー写真 ドキュメンタリーしゃしん

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世界大百科事典 第2版の解説

ドキュメンタリーしゃしん【ドキュメンタリー写真】

写真術はそれ自体の機能として,まず第一義的に記録の技術である。絵画と写真が異なる点は,レンズによる一定の法則に従った(線)遠近法の描写,形態と材質感の克明で微細な描写,相対的ではあるが光の明暗を現実のままに再現する階調の描写などが,同じ被写体なら誰が撮影しても,また時間の経過にともなう変化がないとすれば繰り返し何度撮影しても,同一の結果が得られることである。もし予断や解釈を排除した,機械的・客観的な記録が理想であるとすれば,写真はまさに記録術の申し子だといえる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ドキュメンタリー写真
どきゅめんたりーしゃしん
documentary photography

記録写真。写真はカメラによる記録手段であるため、写真とは記録写真のことと極言してもよいが、現在では社会、自然といった題材を問わず、後世に資料的価値をもつに足る客観性を内容・表現に保持するものと解釈されている。社会的な問題にコメントしたり、カメラ・キャンペーンの意図をもつものはソシアル・ドキュメンタリーフォトととくによんでいる。また広義にはニュース写真、フォト・ルポルタージュも含まれるが、狭義には商業的意図による興味本位のものは除外される。また、1920年代にイギリスを中心に生まれた記録映画は、社会民主主義的な時代的ムードのなかで、民衆に社会問題を啓蒙(けいもう)する目的でつくられており、一般的に社会主義国のドキュメンタリー写真にはこうした傾向が強い。
 写真史上、ドキュメンタリー写真の発生は芸術写真同様きわめて早い。というのも、写真家の周囲の日常や現実はすべて記録の対象として絶好だったからである。フランスの写真発明家マンデ・ダゲールはパリの街や風俗を撮っており、イギリスのフォックス・タルボットもエジンバラの市街にカメラを向けた。同じイギリスのトーマス・アナンは1868年から77年にかけてグラスゴー市のスラム街を撮って、世論をスラム問題に注目させている。
 アメリカでは南北戦争の記録にマシュ・ブラディやアレキサンダー・ガードナーをはじめ多くの写真家が活躍した。南北戦争後、再開された西部開拓では、A・J・ラッセル、T・H・オサリバン、W・ジャクソンらが調査団に加わり、さまざまな新しい景観やインディアン遺跡を記録した。1870年デンマークから移民してきたジェイコブ・A・リースは、ニューヨークのスラム街で生活した体験から、88年サン新聞にカメラによるキャンペーンを連載した。ルイス・W・ハインは社会学者だったが、移民たちの追跡記録や、児童労働の実態、エンパイア・ステート・ビルディングの建設状況などを記録した。また1935年、経済大恐慌における南部の実情を啓蒙するために、農業安定保全局資料部(FSA)が、ウォーカー・エバンズやドロシー・ラングを起用して20万枚に及ぶ記録を残した。
 フランスでは、20世紀初め、無名ながらパリの栄光と悲惨のすべてを撮ったとされるユージェヌ・アッジェがいる。日本でも田本研造(たもとけんぞう)をはじめとする北海道開拓の記録写真は貴重な歴史的資料であるとともに、芸術的にも香気のあるものである。
 記録写真は、記録者の意図を超えて、その精緻(せいち)なリアリズムのゆえに、ときとして芸術的な表現の域に到達する。ここに述べた写真家のドキュメントはすべてそうした評価を受けているものの例である。[重森弘淹]

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世界大百科事典内のドキュメンタリー写真の言及

【土門拳】より

…戦後は50年から雑誌《カメラ》の月例写真審査員として,〈カメラとモティーフの直結〉〈絶対非演出の絶対スナップ〉を標榜する〈リアリズム写真運動〉を主唱し,アマチュア写真家たちに大きな影響を与えた。《ヒロシマ》(1958),《筑豊のこどもたち》(1960)の両ドキュメンタリー写真集はその重要な成果である。また《古寺巡礼》シリーズに代表される仏像,寺院等の記録写真は,彼の日本の伝統文化に対する独自な解釈と,対象を凝視するレンズの非情な記録性が結びついた,稀有な作品群となっている。…

【報道写真】より

…日本語としては昭和初期に,写真評論家の伊奈信男が〈ルポルタージュ・フォトreportage photo〉の訳語としてこの言葉を用いたのが初めといわれる。その意味では,〈報道写真〉という言葉はやや固有名詞的な性格を帯びているわけであるが,しかし今日の一般の意識としては,いわゆる〈ドキュメンタリー写真(ドキュメンタリー・フォト)〉ともほぼ同じような意味で,また,いわゆる〈ニュース写真〉などもその中に含めて,より広い意味の言葉として用いられ,定着しているということができる。 画像による伝達と言語による伝達は互いに機能特性が異なり,そのため古くから言語を補う意味で,新聞などの印刷媒体には挿絵(イラストレーション)が利用されていた。…

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