ネオグェルフ主義(読み)ねおぐぇるふしゅぎ(その他表記)neoguelfismo イタリア語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネオグェルフ主義」の意味・わかりやすい解説

ネオグェルフ主義
ねおぐぇるふしゅぎ
neoguelfismo イタリア語

19世紀前半のイタリアに現れたカトリック自由主義運動の一つ。この運動の目的は、教皇総裁とするイタリア連邦国家の下で、諸君主の協力によって民族更生の実現を図ろうとするものであった。ピエモンテの思想家ジョベルティ著書『イタリア人の倫理的、市民的優位について』(1843)のうちにもっとも明確に表明された運動のプログラムは、1846~1847年に開明的改革を断行したピウス9世によって実現されるのではないかと大いに期待された。しかし1848年4月末の教皇教書は、イタリア民族主義とカトリック普遍主義が相いれないことを宣言して、対オーストリア独立戦争(1848~1849)からの離脱を表明したため、独立戦争への教皇参加の期待はついに幻想に終わった。

[重岡保郎]

『森田鉄郎著『イタリア民族革命』(1976・近藤出版社)』『K・アーレティン著、沢田昭夫訳『カトリシズム 教皇と近代世界』(1973・平凡社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ネオグェルフ主義」の意味・わかりやすい解説

ネオグェルフ主義
ネオグェルフしゅぎ
neoguelfismo

イタリアのリソルジメント期に現れた自由主義的カトリック運動。教皇を首長とする連邦制によってイタリアの国家統一を実現すべきだという主張を掲げ,V.ジョベルティが著書『イタリア人の道徳文明的優越性』 (1843) によってこの主張を理論化した。多くの知識人,民衆に支持され,1846年改革派のピウス9世が教皇に即位するに及んで実現の可能性が強まった。しかし 48年オーストリアに対するイタリア独立戦争が開始されると,教皇はカトリック普遍主義とイタリア民族主義を調和することは不可能だとして独立戦争への参加を拒否したため,この運動は急速に衰えた。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ネオグェルフ主義」の解説

ネオ・グェルフ主義(ネオ・グェルフしゅぎ)
Neoguelfismo

1830~40年代のイタリアに生じた自由主義カトリック運動。教皇を長とするイタリア連邦国家の形成を目標とし,ジョベルティ(V. Gioberti)の書『イタリア人の道徳と文明の優越性』(1843年)がこの目標を理論化した。しかし46年教皇に即位したピウス9世は,教会の普遍主義とイタリアのナショナリズムとの結合は不可能であると宣言,1848年の革命過程で運動は衰滅した。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

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