NASA(ナサ)(アメリカ航空宇宙局)により1990年にスペースシャトルで打ち上げられ、高度約570キロメートル、周期96分の地球周回軌道を回る重量11トンのスペース望遠鏡。
ビッグバン宇宙論の元となった宇宙膨張(ハッブルの法則)を発見したエドウィン・ハッブルにちなんで名づけられた。
口径2.4メートルのカセグレン式反射望遠鏡で近紫外線(波長115ナノメートル)から可視光、近赤外線(波長1ミリメートル)までを観測する5個の観測装置を搭載している。
打ち上げ直後に撮影された画像はピンぼけで主鏡に予期せぬ球面収差があることが判明した。1993年にスペースシャトルで補正光学系と新しい観測装置が運ばれ、宇宙飛行士によって修理交換された。これにより、当初の設計以上の性能をもつ望遠鏡になった。
地球大気の影響を受けない高精度観測により多様な科学的成果をあげている。たとえば宇宙の加速膨張をもたらすダークエネルギーの発見、銀河の周りのダークマター(暗黒物質)や中心部の巨大ブラック・ホールの存在の確証、宇宙年齢の決定、星と惑星の形成現場の観測、太陽系外惑星の発見などがある。
ハッブル宇宙望遠鏡利用に関しては世界中の研究者からの観測提案を受け付け、観測データを公開している。この国際共同利用の仕組みは天文学の発展に大きく貢献している。さらに、一般向けに美しく鮮明な天体画像を多数公開している。
5回にわたりスペースシャトルから改修が行われており、当初の予定運用期間15年を超えて2021年まで稼働する計画である。
ハッブル宇宙望遠鏡の後継機としてNASA、ヨーロッパ宇宙機関(ESA(イーサ))とカナダ宇宙庁(CSA:Canadian Space Agency)が共同でジェームズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST:James Webb Space Telescope)を開発している。2018年に太陽と地球のラグランジュL2点(地球から太陽と反対方向150万キロメートル)に打ち上げる予定である。JWSTは18枚の分割鏡からなる口径6.5メートルの冷却赤外線望遠鏡で、宇宙誕生後最初に生まれた星の観測を目的としている。
[水本好彦 2017年2月16日]
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(谷口義明 愛媛大学宇宙進化研究センターセンター長 / 2007年)
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