翻訳|Havana
西インド諸島、キューバの首都。スペイン語ではラ・アバナLa Habanaという。同国北西岸のフロリダ海峡に面するカリブ海最大の港湾都市である。人口220万4333(1996)、213万1937(2019推計)。年平均気温は24.8℃で亜熱帯気候に属する。年降水量は1374.6ミリメートルで、5~11月は湿度が高い。1514年、サン・クリストバル・デ・ラ・アバナとして、D・ベラスケスが入り江の対岸に建設したが、1519年現在の地に移転した。以後、アメリカ大陸におけるスペインの植民地支配の中心および貿易の中継地として発展し、1898年キューバの独立によって首都となった。1959年の革命前は、アメリカの富豪の別荘が建ち並び、多くの観光客を集め不夜城のごとくにぎわう歓楽都市であったが、革命後はキューバ社会主義社会建設の中核として生産都市に生まれ変わった。「大ハバナ都市圏」として、住宅地帯、新工業地帯、大自然公園などの都市計画が実施され都市基盤の整備が図られた。ハバナ港はキューバ最大の貿易港で、同国の輸入の90%を取り扱い、おもに周辺で栽培されるタバコとサトウキビを輸出している。近年は観光業の振興にも力を入れ、ロシア、東ヨーロッパをはじめ、カナダなどからの観光客を集めている。
17世紀から18世紀初頭にかけて建設された旧市街(ハバナ湾西部の半島部を占める)は、かつて「カリブの女王」あるいは「カリブの真珠」といわれた白い建物の多いスペイン風の美しい町で、現在も植民地時代のおもかげを伝えている。その西方に拡大した新市街は、第一次世界大戦後、アメリカ、キューバの資本家やバチスタ政権の政府要人の高級住宅地として開発されたもので、広い街路や近代高層ビルが建ち並ぶ。両市街の境にある革命広場には独立の父ホセ・マルティの像がある。1960年代に商店やホテルは国営化され、革命前の大邸宅は学校や共同住宅に利用されている。また、バチスタ政権下のコロンビア兵営は教育センターとなっている。ほかに、国境警備隊の兵舎となったモロ要塞(ようさい)、アメリカ大陸で二番目に古い建物であるフエルサ要塞、旧スペイン総督の官邸(現、ハバナ市博物館)、1704年に建てられたハバナ・カテドラルなど歴史的建造物も多い。また、市の南東郊にはキューバをこよなく愛したヘミングウェイの記念館(旧宅)がある。南方14キロメートルにあるホセ・マルティ国際空港には、ロシアのほかメキシコ、スペイン、カナダからの定期便が就航している。なお、旧市街と要塞は1982年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。
[栗原尚子]
キューバ共和国の首都。英語ではHavana。人口は219万(2005)。キューバ最大の都市であり,政治,経済,文化の中心地。亜熱帯に位置して年間平均気温は24.6℃だが,5~7月には相当暑くなる。ハバナはスペイン人によって初めはキューバ島の南側に建設されたが,1519年までに現在の地に移された。55年に総督庁が置かれ,サンチアゴ・デ・クーバに代わってキューバ島の主都となった。天然の良港をもつハバナは,その後スペイン本国とアメリカ大陸の植民地との間の貿易の中継地として急速に発展した。現在ハバナ港入口にある城塞は,16世紀末から17世紀初めにかけて当時の海賊による襲撃から守るために建てられたものである。ハバナ市は1762年から63年にかけてイギリスに一時占領されたが,その後キューバにおける砂糖産業の発展とともに政治,経済,文化の中心地として繁栄し,スペインの支配から脱して1902年に独立してからはキューバ共和国の首都となった。
白い建物が多いハバナ市は,昔から〈アンティルの真珠〉と呼ばれるほどその美観で知られてきた。アルマス広場を中心とする旧市街には現在市の博物館となっているカピタン・ヘネラル(総監)の旧官邸や,さまざまな教会,修道院,ハバナ大学など植民地時代の堂々たる建物が残っている。新市街には近代的な建物が建ち並び,革命記念日に100万人もの市民が集まる革命広場があり,郊外には市民の憩いの場である広大なレーニン公園がある。革命前のハバナはカリブ海最大の歓楽地でおおぜいの外国人,とくにアメリカ人観光客が押しかけ,ギャングたちが経営する賭博や売春が盛んに行われていた。しかし革命後それらは廃止されて清潔な都市へと変貌した。政府が地方や農村の開発を積極的に進めているため,貧しい農民が大都市に流入するという現象はここでは見られず,ラテン・アメリカの大都市では唯一の例外といってよいほどこの都市にはスラム街が存在していない。
執筆者:加茂 雄三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
キューバ共和国の首都。キューバの征服者ディエゴ・ベラスケスが建設。スペイン植民地時代には,ガレオネス(ガレオン),フロータが本国に帰航するときの集結地だった。そのため,ヨーロッパ他国の私拿捕(しだほ)船に襲われることが多かった。七年戦争中,1762~63年イギリス軍に占領された。1902年キューバ独立後首都となった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…他方,研究施設の大型化や高等教育人口の増大による大学の規模の拡大で,個々のカレッジの独立機能の限界があらわになってくる。アメリカで最初のハーバード・カレッジ(現,ハーバード大学)は,ケンブリッジ大学のエマヌエル・カレッジをモデルにして1636年に設立された。つづいて19世紀にかけて小規模のカレッジがアメリカ各地に多数つくられた。…
…そして,多くの州では,アメリカ法律家協会American Bar Associationの定める基準に達したロー・スクールを卒業することが,司法試験受験の要件とされている。このような制度を最初に試みたのは,ラングデルChristopher C.Langdellが1870年に法科大学長になって以来のハーバード大学のロー・スクールであり,それが支配的になったのは,1920年代から30年代にかけてのことである。96年現在,アメリカ法律家協会の基準に達していると認定されたロー・スクールの数は,全米で179校である。…
※「ハバナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新