日本大百科全書(ニッポニカ) 「バッコヤナギ」の意味・わかりやすい解説
バッコヤナギ
ばっこやなぎ
[学] Salix caprea L.
Salix bakko Kimura
ヤナギ科(APG分類:ヤナギ科)の落葉高木。ヤマネコヤナギ(山猫柳)ともいう。葉は互生し、楕円(だえん)形で長さ約10センチメートル、革質で縁(へり)に浅く切れ込む鋸歯(きょし)があり、裏面は白色の綿毛を密生し、粉白色を帯びる。雌雄異株。春、葉に先だち、長さ4~6センチメートルの花穂を出す。雌穂は果実期に伸長する。雄花は雄しべ2本、腹側に腺体(せんたい)が1個ある。雌花の雌しべは花柱が短く、子房は長い柄があり、短毛を密生する。包葉は上半部が黒色で、長い毛がある。材の表面に隆起線があるが、ヨーロッパ産には隆起線がないので別種とされたこともあったが、現在は、形態変異の一つとみられている。山野のやや乾いた地に生え、北海道南西部から四国に分布する。バッコの語源はアイヌ語のpakko(老婦)であるとする説などいくつかあるが、定説はない。
[菅谷貞男 2020年7月21日]