バロッチ(読み)ばろっち(英語表記)Federigo Barocci

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

バロッチ
ばろっち
Federigo Barocci
(1528/35―1612)

イタリアの後期マニエリスムおよび初期バロックの画家。ウルビーノに生まれ、同地に没。ベネチア出身の画家に絵画の手ほどきを受け、ペーザロでジローラモ・ジェンガに学ぶ。1550年ころローマに出て、60年にはピウス4世の小邸(バチカン庭園内)のフレスコ装飾に着手し、その完成により名声を高める。68~69年ペルージアの大聖堂のために描いた『十字架降下』は、大胆な身ぶりの人物たちが人為的な明暗対比とダイナミックな構図のうちに描き出された作品で、そこにはすでにルーベンスのバロック様式の予兆を看取することができる。また絵画の準備段階に習作として描いた数多くの素描がある。

[小針由紀隆]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

バロッチ
Barocci, Federico

[生]1526頃. ウルビノ
[没]1612. ウルビノ
イタリアの画家。本名 Federico Fiori。Barocciは Baroccioとも書く。バティスタ・フランコの弟子。1550年頃にラファエロの作品を学ぶため,また 1560年頃には教皇ピウス4世のバチカンの別荘を装飾するためにローマに滞在したが,それ以外は終生ウルビノで活動した。極端な明暗の対比と情感豊かな色彩で独自の画風を確立,バロック美術の先駆者とされる。銅版画,パステル画にも優れた。代表作『エジプト避難途上の休息』(1573,バチカン美術館),『民衆聖母』(1579,フィレンツェ,ウフィツィ美術館)。

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世界大百科事典 第2版の解説

バロッチ【Federico Barocci】

1535ころ‐1612
イタリア画家。1550年代から60年代にかけてのローマ滞在を除き,生涯を生地ウルビノで送り,イタリア各地からの注文にこたえた宗教画やウルビノの宮廷人の肖像画を描く。後期マニエリストの世代に属するが,ラファエロコレッジョの理想的優美と写生に基づく現実の手ごたえとを結びつけた人物表現,奥深く大気に満ちた空間,情動的効果をもつダイナミックな構図明暗法などにおいて,17世紀のバロック様式を先取りしている。

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