バン

デジタル大辞泉 「バン」の意味・読み・例文・類語

バン(ban)

[名](スル)
禁止令。禁制。法度。「スモーキングバン(=禁煙)」
俗に、ソーシャルメディアの運営者などが、規約に違反した者の利用を停止させること。「悪質なユーザーバンされる」→アカバン

バン(Van)

トルコ東部の都市。バン湖の東岸、イランとの国境近くに位置する。紀元前9世紀から前6世紀にかけてウラルトゥ王国の首都として栄え、トゥシパとよばれた。バン湖に浮かぶアクダマル島に10世紀建造のアルメニア教会が残るほか、ウラルトゥ王国時代の陶器や青銅器を所蔵するバン博物館、前9世紀にサルドゥール1世が築いたバン城跡などがある。ワン。

バン(van)

後部に荷物を積めるようにした屋根付きの箱型の自動車。「ライトバン

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精選版 日本国語大辞典 「バン」の意味・読み・例文・類語

バン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] van ) 屋根のある箱型の荷台をシャーシーの上に架装した貨物自動車。また、鉄道で屋根のある箱型の貨車・荷物車。

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普及版 字通 「バン」の読み・字形・画数・意味


8画

[字音] バン

[説文解字]

[字形] 象形
馬首に冠する皮製のおおい。〔説文〕五下に「蓋(なうがい)なり。皮もてするに象る。下に兩臂(りやうひ)あり。而して夊(すい)は下に在り。讀みて(はん)の(ごと)くす」とあり、〔伝〕に「制、乘輿の馬には金」という。字形のうち、火は鼻によって帯が両分する形。夊はその帯を左右に斜め下に引きめぐらす形。夊は陟降のの従うところとは同じでない。の全体が象形である。字はまた弁に作り、〔西京の賦、李善注〕に「弁は馬冠なり。髦(ばう)に叉(さ)す。玉(せんぎよく)を以て之れを作る」とみえる。近年出土の始皇陪陵の車馬坑より、馬冠の精品が出土している。

[訓義]
1. うまのつらあて、馬冠。
2. 首飾り。

[語系]
miamは樊biuan、puan、盤buanなどと同系の語で、めぐらしまとう意がある。馬面にそってまとうものをという。

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改訂新版 世界大百科事典 「バン」の意味・わかりやすい解説

バン
Bann[ドイツ]
ban[フランス]

古ゲルマン語の動詞バナンbannan(禁制を敷く)に由来し,罰令ないし罰令権を意味する。バンは公的な平和と正義とを実現・維持するための命令・強制・処罰の権の総体をいう。フランク時代には,バン権は王権の権力的基礎をなし,軍事権力の所有者である国王は,国王罰令権をてこに公生活の全分野を支配し,これに干渉した。バン権は,特定の人(聖職者,商人,巡礼者)や場所(教会,道路,森林,河川)を国王の保護下におく権利,すべての臣民に対して拘束力ある命令や禁令を布告する権利,罰令違反者を処罰する権利などからなる。

 王権が弱体化した中世では,聖・俗界諸侯(司教,大修道院長,大公,伯,城主など)が国王大権であったバン権を事実上掌握し,これを行使した。とくに封建制が典型的な発展を遂げたフランスでは,城を拠点として一円的な領域支配を達成した城主層が,領民に対して効果的にバン権を行使したことで知られる。10世紀後半から12世紀初頭にいたる城主支配権の最盛期に,城主(バン領主)が領内住民に対して行使したバン権の内容はおおよそ次の通り。(1)軍事的バン権 領民を身分のいかんにかかわりなく戦闘に動員し,彼らに城郭や橋梁・道路を構築・維持・修繕そして警護させる権利。城主と家臣の食糧(小麦,ブドウ酒,家畜),軍馬の飼料(干し草,エンバク)を徴発し,領民のもとで城主一行が宿営する権利。(2)裁判・警察的バン権 領内の治安維持のために平和の侵害者を処罰する権利。とくに重罪犯(殺人,放火,窃盗,誘拐)に対しては体刑を科する権利(流血裁判権)をもつ。さらに,公道監視権,市場開設・監督権,そして注目すべきものに,領内通行者に護衛をつけて身体と財産の安全を保障し,その代償として一定の通行税を徴収する権利(護送権)がある。(3)経済的バン権 その種類は多岐にわたるが,重要なものに,特定施設(水車,パン焼きかまど,ブドウ搾り機)を領内住民に強制使用させて手数料を取り立てる使用強制権(バナリテ)がある。これは一定領域内(バンリューbanlieue)に類似の施設を設置させない禁令をも含む。さらに,ブドウ収穫日設定権,ブドウ酒先売特権,酸っぱくなり始めたブドウ酒を早急に処分するための処置であるブドウ酒販売独占権(通常,復活祭からおよそ40日間)などがある。このほかに,城主は度量衡を定め,禁猟区を指定し,森林の伐採,木材の搬出を制限ないし禁止する権利,戸別税,十分の一税,および臨時的賦課租(タイユ)を課す権利をもつ。

 12世紀以降,より高次の政治権力(大諸侯権,王権)が強化されてくると,城主権の主要部分はしだいにこれらの権力に吸収されていった。他方,中・下級のバン権(とくに経済的バン権)は,直接的収益の源泉として授封,売買,譲渡の対象となり,広く農村にバン権の拡散が認められるようになる。使用強制権などのバン権はフランス革命期まで存続した。なお,教会法ではバンは破門を意味する。
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バン (鷭)
moorhen
Gallinula chloropus

ツル目クイナ科の鳥。全長約33cm。全身灰黒色で,背面は褐色みを帯び,わきに白い横斑がある。下尾筒は白い。くちばしは先端が黄色く,基部と額板は赤い。長い脚とあしゆびは黄緑色で,ももの露出部は赤みを帯びている。オーストラリア区を除き,世界中の温帯から熱帯に広く分布し,寒冷地で繁殖しているものは冬季暖地に渡って越冬する。日本では,北海道や本州北部では夏鳥,本州中部以南では留鳥で,とくに南日本では数が多い。湖沼,川岸や湿地にすみ,開けた水面にはほとんど出ず,ヨシ,マコモなどの挺水(ていすい)植物のはえている所の近くで採食する。さまざまな小動物や植物質を食べる。あしゆびには水かきはないが,体を前後にゆすりながらたくみに泳ぐ。潜水はしない。

 テリトリーを守る雄どうしが出会うと,体を低くして,翼を少し広げて体側に下げ,赤いくちばしと額板が相手によく見えるように頭部を下げてさし出すディスプレーをしばしば行う。さらに,相手のテリトリー内に入り,劣位になった雄は,赤い頭部は見せず,逆を向いて尾羽と下尾筒を上げて,白色羽の多い下尾筒を相手に見せる姿勢をとることが多い。鳥類のディスプレーとしては,日本の鳥の中では観察しやすい一例である。巣は,水深の浅い部分や湿地上に,草の葉や茎などを積み重ねてつくり,1腹5~10個の卵を産む。抱卵は雌雄交替で行い,雛は孵化(ふか)後まもなく両親について巣を離れる。近縁種オオバンは額とくちばしが白く,飛んだとき次列風切後縁に白線が出るので,バンと見分けることができる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バン」の意味・わかりやすい解説

バン
Gallinula chloropus; common moorhen

ツル目クイナ科。全長 30~38cm。羽色は全体に灰黒色で,脇と下尾筒は白色。額にが延長したような額板があるが,これは繁殖期には赤く,非繁殖期になると暗緑色になる。嘴は先が黄色で,基部は赤い。水辺に水草の茎や葉を集めて巣をつくり,5~10個の卵を産む。は全身黒色の綿羽に覆われ,大きな趾(あしゆび)も黒く,頭と嘴基部のみ赤い。親鳥がその年に 2度目の繁殖をするとその子育てを手伝う。ユーラシア大陸とアフリカ温帯熱帯に広く分布する。日本には,東日本では夏鳥(→渡り鳥)として渡来し,西日本では留鳥として各地の池,沼,川岸などに生息する。蹼(みずかき)はないが,泳ぎは得意で,水面や湿地で植物質の餌や水生の小動物をあさって食べる。「くるるっ」と鳴く。

バン
Van

トルコ東端の都市で,同名県の県都。バン湖の東岸,標高 1750mに位置する。前8~7世紀にウラルトゥ王国の主要な中心地ビアイナであった。王国がアッシリアに破られたのちは,支配者を次々と変えたが,前1世紀には古代アルメニア王国に組込まれた。8世紀にはバグラティド朝アルメニアに支配されて繁栄した。その後セルジューク・トルコを経て 1543年にオスマン帝国に併合され,第1次世界大戦中にはロシア軍に占領された。周辺地域の産物,皮革,穀類,果物,野菜の集散地である。アンカラ,イスタンブールとは空路で結ばれる。人口 15万 3111 (1990) 。

バン
bán

太守。ハンガリー王国南部に設けられた行政管区の長。もともとはクロアチア王国の官職名。 1102年以降,ハンガリー国王の宗主権下に入ったクロアチア,ダルマチア,スラボニア地方の支配をハンガリー国王から委任された者。 1241~42年のモンゴル侵攻後,サバ川以南に王国防衛のために設けられた諸軍管区の長もバンと呼ばれた。 1526年のモハーチの戦いでハンガリー王国がオスマン帝国に敗れて以降は,クロアチア,スラボニア太守のみ存続。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バン」の意味・わかりやすい解説

バン
ばん / 鷭
moorhen
common gallinule
[学] Gallinula chloropus

鳥綱ツル目クイナ科の鳥。全長約33センチメートル。頭頸(とうけい)部と下面は灰黒色で、背面は暗緑褐色、わきに1条の白帯がある。下尾筒は白い。先端の黄色い嘴(くちばし)と赤い額板が特徴であるが、非繁殖期には額板は小さく、緑褐色となる。幼鳥は褐色に富む。オーストラリアを除く世界の温帯、熱帯に広く分布する。日本には夏鳥として渡来し、全国の河川、湖沼、ハス田などで繁殖するが、南日本では越冬するものもある。頸(くび)を前後に振って水面を泳ぎ、また歩くときには絶えず尾を動かしている。飛び方は弱く、足を下げたままゆっくりと飛び、すぐ近くに降りる。食性は雑食で、植物食も動物食もとる。繁殖は、湿地の草むらやアシの中に枯れ茎を集めて巣をつくって行い、1腹5~10個の卵を産む。抱卵期間は約21日。バン属は、バンも含めて世界に12種があり、新旧両世界の温帯と南半球に分布している。

[森岡弘之]


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百科事典マイペディア 「バン」の意味・わかりやすい解説

バン(鳥)【バン】

クイナ科の鳥。翼長16cm。全体灰褐色で,くちばしの基部と前額は赤い。オーストラリアを除く世界の温暖地に広く分布し,日本では夏鳥として全土に渡来。九州などでは冬もとどまるものがある。平地の湖沼等にすみ,岸近くの浅水中に巣を作り,草の種子,昆虫,貝などを食べる。クルルッと鳴く。近縁種にオオバンがある。

バン(自動車)【バン】

自動車の分類の中で,屋根の固定された箱形の荷物室をもつトラック。運転室と荷物室とは別個に作られている。運転室と荷物室が一体に成形された共通の屋根をもつものはパネルバン(ライトバン)という。

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犬&猫:ペットの品種がわかる事典 「バン」の解説

バン【Van】

猫の模様のひとつ。頭部と尾だけに色が入り、それ以外は白い。ターキッシュ・バンに見られる模様である。

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栄養・生化学辞典 「バン」の解説

バン

 インドアオサの葉を樹脂と混ぜたもので,麻酔薬や麻薬になる.

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DBM用語辞典 「バン」の解説

バン【VAN】

VAN参照。

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世界大百科事典(旧版)内のバンの言及

【イギリス】より

…工業は炭田の立地する南ウェールズに集中し,カーディフ,ニューポートに鉄鋼・造船などの工業が発達している。
[北アイルランド]
 バン川流域平野では酪農および大麦・ジャガイモ栽培と肉牛・豚飼育による混合農業が盛んであり,その周辺の台地・高原における牛の放牧・肥育とは対照をなしている。中心都市ベルファストは麻工業と造船業に特色を有し,ロンドンデリーにも衣料(シャツ)工業がみられる。…

【自動車】より

…(2)スポーツカー スポーツとしての運転を楽しむことを目的とし,通常は乗員2人以下で最大でも4人まで。(3)貨客兼用車 小人数と少量の荷物の輸送を目的とするもので,欧米ではステーションワゴンといい,日本ではバンと通称されることが多い。(4)トラック 一般的な貨物の輸送を目的とするもの。…

【トラック】より

…運転席や荷台はフレームに別個に取りつけられるため,さまざまな形式の荷台を自由に架装できる。
[種類]
 自動車の種類に関する用語と意味などについて規定しているJIS D 1010によれば,トラックは,ボンネットトラック,キャブオーバートラック,バン,パネルバン,ライトバン,ピックアップの6種に分類される(図1)。ボンネットトラックは,エンジンが運転席前方に位置し前部にボンネットをもつ形式のトラックである。…

【バナト】より

…東ヨーロッパの地域名。歴史的には北はムレシュ川,西はティサ川,南はドナウ川,東は西カルパチ山脈に囲まれた方形の地域を指し,現在はその大部分がルーマニア,一部がユーゴスラビアに属している。ルーマニア語ではバナトゥルBanatul,セルビア語ではバナートBanat,ハンガリー語ではバーナートBánátまたはバーンシャーグBánság。この地名は南スラブ語のバンban(〈主人〉〈支配者〉の意)に由来し,バンの支配領域を指していた。…

【罰金】より

…このような方向への賠償金制度の大きな変化は,かつては加害者側より被害者側に全額帰属していた賠償金において,〈平和金〉すなわち公権力への財物拠出の拡大という結果になる。 他方,この系譜の罰金とは別に,中世初期以来,王や地方役人による一定金額による制裁規定をもった行政的禁止命令(バンBann,罰令とも訳される)が発達し,これが罰金の始源の第2のものを形成する。第1の系譜に属する罰金は,近世初頭以来,国家権力の強化とローマ法の継受との進行にともない,重罪に関するかぎりは生命刑や身体刑等をもっての制裁が強化されていくにしたがい,やがて姿を消す。…

【バナリテ】より

…西欧中世の領主が,バンBannと呼ばれる支配権に基づいて一定の領域に大型の生産施設を設置し,それらを住民に強制的に使用させていた制度。対象となる施設は風車・水車を備えた製粉場(粉ひき),パン焼きとビール造りに用いられるかまど,ブドウの搾り器などで,領民の資力では困難なこれらの建設を,いわば恩恵的に実行した領主は,同時にそれらの所有を独占していた。…

【罰金】より

…このような方向への賠償金制度の大きな変化は,かつては加害者側より被害者側に全額帰属していた賠償金において,〈平和金〉すなわち公権力への財物拠出の拡大という結果になる。 他方,この系譜の罰金とは別に,中世初期以来,王や地方役人による一定金額による制裁規定をもった行政的禁止命令(バンBann,罰令とも訳される)が発達し,これが罰金の始源の第2のものを形成する。第1の系譜に属する罰金は,近世初頭以来,国家権力の強化とローマ法の継受との進行にともない,重罪に関するかぎりは生命刑や身体刑等をもっての制裁が強化されていくにしたがい,やがて姿を消す。…

【バナト】より

…ルーマニア語ではバナトゥルBanatul,セルビア語ではバナートBanat,ハンガリー語ではバーナートBánátまたはバーンシャーグBánság。この地名は南スラブ語のバンban(〈主人〉〈支配者〉の意)に由来し,バンの支配領域を指していた。15世紀までハンガリー王国領だったが,モハーチの戦(1526)ののちオスマン帝国領となり,ティミショアラ・パシャリク(ハンガリー語ではテメシュバール・パシャリク)がつくられた。…

【バナリテ】より

…西欧中世の領主が,バンBannと呼ばれる支配権に基づいて一定の領域に大型の生産施設を設置し,それらを住民に強制的に使用させていた制度。対象となる施設は風車・水車を備えた製粉場(粉ひき),パン焼きとビール造りに用いられるかまど,ブドウの搾り器などで,領民の資力では困難なこれらの建設を,いわば恩恵的に実行した領主は,同時にそれらの所有を独占していた。…

※「バン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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