出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
レバノンを南北に両断するベカー渓谷の北部、ベイルートから約90キロメートルに位置する小都市で、ローマ時代の遺跡で知られている。その名はベカーのバール(セム人に尊崇された天候神ハダド)を意味している。ローマ人はこの神をユピテルと同一視し、紀元前1世紀から後4世紀にかけて何人かのローマ皇帝たちが巨大なユピテル神殿とバッカス神殿を造営した。ユピテル神殿は六角形中庭、祭壇中庭、内陣からなり、今日残る内陣の6本の石柱(元は54本)は直径2.2メートル、高さ20メートルあり、レバノン山脈を背景に建つ姿は絶景とされている。ほかに近くにウェヌス(ビーナス)へ捧(ささ)げられたといわれる美麗な小神殿などがある。この遺跡は1984年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。
[矢島文夫]
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