改訂新版 世界大百科事典 「レバノン山脈」の意味・わかりやすい解説
レバノン[山脈]
Jibāl al-Lubnān al-Gharbīya
地中海の東岸,レバノンを北から南に海岸線と平行に走る山脈。東側は急傾斜で落ち込みベカー高原の西壁をなし,西側はゆるやかな傾斜地をなす。最高峰はクルナ・アッサウダーQurna al-Saudā’(3086m)で2000m以上の高い連山がある。山岳地帯は深い渓谷で北部,中央部,南部に三分されているが,中央部の〈犬の川Nahr al-Kalb〉と呼ばれる付近から高度を下げる。
中央部にはベイルートとベカー高原を経てダマスクスに至る街道が横断しているが,南のシューフal-shūfはかつての政治の中心地であったし,いまなおドルーズ派の拠点である。北部にはこの国のシンボルであるレバノン杉が一部になごりをとどめているが,マロン派キリスト教の総本山が山岳の一角にあり偉容を誇っている。
執筆者:林 武
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報