ペトラ

デジタル大辞泉 「ペトラ」の意味・読み・例文・類語

ペトラ(Petra)

ヨルダン南西部にある古代隊商都市遺跡遊牧民のナバテア人によって建設され、紀元前1世紀から紀元後1世紀にかけて栄えた。2世紀初頭に古代ローマ帝国に併合され、衰退周囲砂岩岩山に囲まれた天然要害をなし、岩盤を掘り込んで築いた霊廟れいびょう王家の墓、神殿などが残っている。1985年に世界遺産(文化遺産)に登録された。

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世界遺産詳解 「ペトラ」の解説

ペトラ

1985年に登録されたヨルダンの世界遺産(文化遺産)で、首都アンマン南方、死海とアカバ湾の間にある峡谷に位置する古代遺跡。ペトラは、紀元前2世紀頃から、アラブ系の遊牧民ナバタイ人の隊商都市として栄えた。岩山に囲まれた遺跡群に到達するには、断崖絶壁に囲まれたシクという一本道を通らねばならない。この細く暗い道を30分ほど歩くと、ギリシア神殿を思わせる荘厳な建造物がある。カズネ・ファルウンというこの建物の高さは30mで、岩壁に彫り込まれている。さらに奥へ進むと、ローマ時代の2~3世紀に建造された円形劇場、浴場、宴会場などのローマ遺跡が現れ、列柱通りの右手には「王家の墓」と呼ばれる岩窟墳墓群などが建ち並ぶ。この都市空間には、1000を超える住居跡が残っている。「幻の都」とされていたペトラは、1812年にスイス人の東洋学者ヨハン・ルートヴィヒ・ブルクハルトによって発見された。このような古代遺跡の価値が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はPetra。ぺトラはギリシア語で「岩」という意味。

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改訂新版 世界大百科事典 「ペトラ」の意味・わかりやすい解説

ペトラ
Petra

ヨルダン王国南部の,浸食された岩山の谷間にある古代都市遺跡。アラビア語の現在名はワーディー・ムーサーWādī Mūsā。旧約聖書ではセラSelaと呼ばれた。ナバテア王国の首都であり,106年,王国のローマ併合以後は一時属州アラビア州の州都であった。南アラビアとシリア地中海を結ぶ隊商都市として繁栄したのは前2世紀から後3世紀前半までであったが,現在残る遺跡の多く(列柱付大通り,劇場,神殿,霊廟,浴場,岩窟墓,碑文など)は2~3世紀のものである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペトラ」の意味・わかりやすい解説

ペトラ
ぺとら
Petra

西アジアの隊商都市遺跡。アカバ湾北東120キロメートルの岩石盆地にあり、現在ヨルダン王国に属す。紀元前6世紀初めアラビアから北上してきた遊牧民のナバタイ人が、前4世紀ごろここに定着し、紅海、地中海、シリア、エジプトメソポタミアを結ぶ隊商貿易に従事して、前1世紀に最盛期を迎えた。紀元後106年ローマ帝国に併合され、貿易中心地としての地位をパルミラに譲った。列柱道路、王宮、取引場、体育館、劇場、浴場が並び、周囲の岩山に神殿、王墓などが掘り込まれている。初めアラム文字を用いたが、のちナバタイ文字をつくり、それが現在のアラビア文字の直接の源をなしている。碑文、貨幣、彫刻、陶器が出土しているほか、ヨセフスの『ユダヤ戦記』『ユダヤ古代史』、著者不明の『エリトラ海案内記』などに記述がある。なお、この遺跡は1985年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。

[小玉新次郎]

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百科事典マイペディア 「ペトラ」の意味・わかりやすい解説

ペトラ

ヨルダン南部の古代都市。紀元前後にアラビア系遊牧民のナバテア王国の首都として,また通商の中継地として繁栄したが,106年ローマ帝国の配下に入った。付近の峡谷の断崖に神殿や墓廟が残るが,ローマ風のファサードをもつカズネー・フィラウン(ファラオの宝庫)などにすぐれた建築・彫刻技術を示している。1985年,世界文化遺産に登録。
→関連項目ネゲブ砂漠

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ペトラ」の解説

ペトラ
Petra

隊商交易で栄えたナバテア王国の首都。最後のラベル2世がボスラ(ボストラ)に遷都。語源(ギリシア語とラテン語で「岩」の義)どおりの岩山に囲まれた天然の要害。現在ヨルダン領内に残る遺跡は,周壁に穿(うが)たれた岩窟墓で名高い。

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デジタル大辞泉プラス 「ペトラ」の解説

ペトラ

1992年スペイン、バルセロナで開催された夏季パラリンピック第9回大会のマスコット。

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世界大百科事典(旧版)内のペトラの言及

【ナバテア王国】より

…前2世紀前半にペトラを首都として,現在のヨルダン西部に成立したナバテアNabatea人(ギリシア語でナバタイオイNabataioi,アラム語でナバトゥNabatu)の王国。前63年にはローマに臣従したが独立を保ち,後106年ラベル2世Rabel IIの治世を最後にローマに征服され属州アラビア州に併合された。…

※「ペトラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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