パッサカリア(英語表記)passacaglia[イタリア]

デジタル大辞泉 「パッサカリア」の意味・読み・例文・類語

パッサカリア【〈イタリア〉Passacaglia】[曲名]

ウェーベルン管弦楽曲。1908年作曲。シェーンベルクの下で学んだ後、作曲家として独立した際の第一作目であることから、作品番号1が付けられた。初期代表作として知られる。管弦楽のためのパッサカリア。

パッサカリア(〈イタリア〉passacaglia)

バロック音楽の器楽形式の一。低声部で同一音形が繰り返され、上声部で変奏が行われる、荘重な三拍子の曲。
[補説]曲名別項。→パッサカリア

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精選版 日本国語大辞典 「パッサカリア」の意味・読み・例文・類語

パッサカリア

  1. 〘 名詞 〙 ( [イタリア語] passacaglia ) 変奏曲の一形式。シャコンヌとともにバロック時代に発達した三拍子の変奏曲で、低音に同じ旋律を繰り返すオスティナート一定音型)をもっており、その旋律の一回ごとに上声部が変奏を続けるのが特徴

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改訂新版 世界大百科事典 「パッサカリア」の意味・わかりやすい解説

パッサカリア
passacaglia[イタリア]

シャコンヌとともにバロック時代に特有な変奏曲形式として知られるもので,多くは荘重な3拍子である。何より特徴的なのは,たいていの場合4小節とか8小節の短い旋律が何度となくバスで繰り返され,繰り返されるごとに上声部が別の旋律となって和声を重ねていくという形の変奏曲であることである。したがって繰返しの切れ目がはっきりせず,音楽は切れ目なしに流れるので,連続的変奏曲ともいわれる。なお,シャコンヌとどう違うかの問題もいろいろ論議されてきたが,バロックの作曲家たちはその二つの名称を無差別に使ったと考えなければならない。しかし,J.S.バッハオルガンの《パッサカリア》(BWV582)では,はっきりとした旋律が認められ,一方,バッハの《無伴奏バイオリンのためのパルティータ》(BWV1004)の終楽章のシャコンヌでは,旋律よりはむしろ和声進行が繰り返されるというのは,後期バロックにおけるパッサカリアとシャコンヌの間にみられる一般的な相違にも通ずるということもできる。
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百科事典マイペディア 「パッサカリア」の意味・わかりやすい解説

パッサカリア

バロック音楽の楽曲の一形式。3拍子系のイタリア舞曲が起源で,シャコンヌに近い一種の変奏曲。J.S.バッハのオルガン曲《パッサカリア》やブラームスの《交響曲第4番》終楽章は有名。なお,ボリビア,エクアドル,ペルーなどで,カーニバルのとき踊られるパッサカレも同起源。→オスティナート
→関連項目バッソ・オスティナート

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パッサカリア」の意味・わかりやすい解説

パッサカリア
ぱっさかりあ
passacaglia イタリア語

17世紀のスペイン、イタリアで流行した舞曲。バロック時代に純器楽曲としてしだいに様式化された。遅い三拍子で、4~8小節の主題(多くの場合短調)が全曲を通じて反復される変奏曲形式をとる。主題はおおむね固執低音(バッソ・コンティヌオ)としてバスに置かれるが、曲中で上声部に移されることもある。シャコンヌはパッサカリアに類似しているが、主題旋律の反復より、その旋律の基礎をなす一定の和声パターンの反復を中心にしている。このパッサカリアは、バロック時代にはとくにドイツとフランスを中心に作曲された。ドイツではオルガン用に書かれることが多く、なかでもJ・S・バッハのハ短調の作品(BWV582)は有名である。また、後の時代ではブラームスの交響曲第四番の最終楽章(作品98。1884~85)やウェーベルンの作品(作品1。1908)などが知られている。

[寺本まり子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パッサカリア」の意味・わかりやすい解説

パッサカリア
passacaglia

(1) スペインやイタリアの古い舞曲で,ゆるやかな3拍子のもの。シャコンヌとともにバロック音楽の一形式で,この両者の間には混同が多いが,その区別については完全な定説はない。 (2) スペインで,本来は町の一軒一軒をめぐる小走りの踊るような行進をさし,音楽も2拍子の簡単な行進曲を用いた。やがて宮廷に採用され,4分の3拍子のゆるやかな,滑る動きが特徴の踊りとなった。サラバンドやシャコンヌと同様,16世紀後半にスペインからイタリア,17~18世紀にはフランスのルイ 14世時代の宮廷で,パサカイユとも呼ばれて流行した。

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世界大百科事典(旧版)内のパッサカリアの言及

【バッハ】より

…オルガン曲の中には,一方に華麗な演奏技術を駆使する〈トッカータとフーガ〉〈前奏曲(幻想曲)とフーガ〉などがあり,他方にはルター派教会音楽の源泉たるコラールを用い,内面的な表現を特徴とする〈コラール前奏曲〉〈コラール変奏曲〉などがある。さらに3声書法を1個のオルガン上で実現した6曲の《トリオ・ソナタ》(BWV525~530),1個の低音主題による構築的な変奏曲《パッサカリア(とフーガ)》(BWV582)もバッハ様式の優れた例である。 クラビーア(チェンバロまたはクラビコード)曲には,元来教育を目的とした《インベンション》や《平均律クラビーア曲集》と,多彩な舞曲を配列した数多くの組曲のほか,ビバルディの協奏曲形式をチェンバロ独奏に応用した《イタリア協奏曲》,1個の低音主題に基づいて前人未到の演奏技巧を繰り広げる《ゴルトベルク変奏曲》,さらには半音階的な旋律と和声によってきわめて個性的な表現を達成した《半音階的幻想曲とフーガ》(BWV903)がとりわけ重要である。…

【変奏曲】より

…ふつう変奏曲と呼ばれるのはこの型である。後者は,短い旋律断片あるいは和声的骨格が絶えまなく反復されていく中を他の諸要素が変奏されていくもので,シャコンヌパッサカリアがこれに属する。旋律は多くの場合低音部で固執低音(バッソ・オスティナート)として反復されるが,上声部に移ることもある。…

※「パッサカリア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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