パレット(読み)ぱれっと(英語表記)palette 英語

デジタル大辞泉 「パレット」の意味・読み・例文・類語

パレット(palette)

油絵や水彩画を描く際、絵の具を溶いたり調合したりするために用いる板。調色板
ある画家が常用した色彩の種類。また、ある作品に採用された色彩の種類。
アプリケーションソフトの操作画面において、各種ツール・操作・命令アイコンなどでまとめて表示する領域。ドローソフトフォトレタッチソフトなどで用いられる。操作パレットフローティングパレット

パレット(pallet)

運搬用の荷台や枠組みフォークリフトで荷物を載せたまま運ぶ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「パレット」の意味・読み・例文・類語

パレット

  1. 〘 名詞 〙 ( [フランス語・英語] palette )
  2. 油絵や水彩画を描くために、絵の具を混色・調色するための板。
    1. [初出の実例]「諸種の画料は『パレット』(画料を溶和する板なり)の上に各々溶し置き」(出典:厚生新編(1811‐39頃)第四四巻雑集)
  3. ある技法において採用され得る色のすべて。また、その範囲。
  4. 特定の画家が用いる色の範囲。
    1. [初出の実例]「ドラクロアのパレットほど細心に微妙に整頓されたパレットを自分は、他の画家に見た事がない」(出典:近代絵画(1954‐58)〈小林秀雄〉ボードレール)

パレット

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] pallet ) 荷物をある単位にまとめて移動する時に使う荷台。フォークリフトなどで積み降ろしする。〔流通革命(1962)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パレット」の意味・わかりやすい解説

パレット
ぱれっと
palette 英語
palette フランス語

美術用語。今日もっとも一般的に用いられる意味としては、絵を描くときに絵の具を出しておいたり、混ぜ合わせたりするために用いる平板状の用具である。絵の具の性質や絵画技法に応じて古くからさまざまな材質や形状のものが使われてきた。水性の絵の具を使う場合にはガラスや陶器、あるいはほうろう引きの金属性のものがよく用いられ、油絵ではクルミやサクラなどの硬材でつくった板が愛用されている。通常これらのパレットには親指を入れる穴があけられ、左手(右利きの場合)に持って使うようにつくられている。長方形か楕円(だえん)形が普通であるが、アーム型とかフランゼン型とよばれる大型変形パレットもあり、アトリエでは、絵の具キャビネットや机の天板がパレットに使われることもある。

 エジプト考古学では、書記の筆記用具とか化粧用具として、顔料(がんりょう)・化粧料などを擦りつぶしたり溶いたりするのに使われた粘板岩や片岩の平板をパレットとよぶ。先王朝時代後期には、実用を離れた精巧な浮彫り装飾を施した儀式用のものがつくられるようになった。中央部にあるすり鉢状の凹部がわずかに機能的な役割を示しているだけで、道具としてよりも美術遺品としての価値が高い。よく知られる作例として「ナルメル王のパレット」(カイロエジプト博物館)がある。

 本来の絵画用具としてのパレットから派生して、比喩(ひゆ)的な意味に使用される場合もある。画家が限定した数の絵の具だけを選んでパレット上に準備した場合、その一群の絵の具の選び方、パレット上での並べ方、また選ばれた一組の絵の具などをパレットとよぶ。さらに、1点の絵画、1人の画家、あるいは一流派などの絵の具の使い方とか色調の整え方を分析整理して形式化したものを意味する。「パレットが明るい(暗い)」というような表現は、このような意味においてである。

長谷川三郎

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「パレット」の意味・わかりやすい解説

パレット
palette

(1)絵具の混色などに用いられる板状の画材。(2)古代エジプトにおいて,孔雀石などの化粧料,顔料をすりつぶすために使われた石板。中央に円いくぼみをもったアラバスターや粘板岩の製品がみられる。先王朝,古王朝期から作られ,大型の片岩や粘板岩製の,歴史的事件や王の征服の記録などを彫り込んだ神殿奉納用のものが,ナカーダ,アムラー,ヒエラコンポリス,ガバレイン等で多数発見されている。これらの中には,王が牡牛やライオンの姿で表され,彼に従う種族を示すハヤブササソリなどが敵を倒すありさまや,ヌビア人やリビア人との戦勝を記念し,それらの国々から戦利品として得た牛やロバ等を描いたものもみられる。特に第1王朝ナルメルNarmer王のパレットは,その精巧な浮彫とナルメル王による上エジプトの征服の記録で有名である。一方,書記の筆記具の一つとしての木製のパレット(筆入れの一種)もみられる。長さ20~40cm,幅5~7.5cm,上部に楕円形または円形のインク用の穴を1~2個から十数個あけたものもある。中央に細長く葦筆を納めるための溝をもち(中には筆押さえのための木片やスライドするカバーを付けたものもある),所有者の名前や称号とともに他界の神への祈禱文や,書写の神トートへの賛歌を彫り込んだものもある。象形文字では,このパレットとインク壺,筆をひもで結んだ形を〈書く〉〈書記〉〈なめらか〉等の意に用いている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パレット」の意味・わかりやすい解説

パレット
palette

古代エジプトで用いられた石板。普通「化粧皿」と訳されている。先史時代から古代エジプト人はあらゆる病魔は目より入ると信じ,また陽光や虫から目を保護するためもあって,孔雀石をすりつぶして目のまわりに塗る習慣があった。パレットはそのときに使用する化粧皿で,片岩あるいは粘板岩でできていた。実用的なものは不正長円形や菱形などで中央部がややくぼんでおり,ときには鳥や魚,羊や牛のような獣の形をしたものもあった。先王朝時代末から初期王朝時代にかけては精巧な浮彫を施した儀式用とでもいうべきものも現れた。「ナルメル王のパレット」や「狩人のパレット」などが最も有名である。時代が下ると,筆記具用,絵具を入れる絵画用,それに化粧用の3種類が現れる。

パレット
palette

絵画用具。絵を描くとき,絵具を並べて置き,これを任意に調合するために用いる薄い板。一般に木材や金属や陶器でつくられていて,片手で支え持つため一端に親指をかける穴がある。また画家が作品に使用した色のすべてをさす場合もある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

ASCII.jpデジタル用語辞典 「パレット」の解説

パレット

ツールボックス主に画像を扱うアプリケーションで、操作対象の状態や機能を表示する小さなウィンドウ。画面上の好きな位置に置いて利用できる。部品画面で色を表現するための部品のことで、専用のLSIなどがある。16色や256色でより多彩な色を表現する。1つのパレットに1色の情報を格納しており、数多く使用するほど多彩な色を表現することが可能になる。たとえば、16個使用すると16色まで同時に表現でき、この場合の表示能力を「16色表示」といった言葉で表す。

出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報

百科事典マイペディア 「パレット」の意味・わかりやすい解説

パレット

(1)古代エジプトの石板。眼の保護のためその周囲に塗る顔料(孔雀石の粉末)の調製に用いられ,多く片岩ないし粘板岩製。凹所をもち,浮彫,線刻が施されたものもある。前6000年ころからの作例があり,《ナルメル王のパレット》は特に有名。(2)画材。長方形または楕円形の板で,親指を入れる穴があけてある。絵具を並べて付けておき,色調を確かめたり混色するのに用いる。

パレット(機械)【パレット】

フォークリフト(フォークリフトトラック)のフォークを差し込んで運搬される荷置台。木製,方形のわく組になった平形パレットが多い。荷くずれしやすい荷物には板または金網をつけたボックスパレットを使用。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

流通用語辞典 「パレット」の解説

パレット

商品を一定単位にまとめてユニット化する台のこと。種類には平パレット、ボックス・パレット、ポスト・パレットがある。いずれもフォーク荷役を行うようにフォークリフトとの差し入れ口がついている。

出典 (株)ジェリコ・コンサルティング流通用語辞典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「パレット」の解説

パレット

キャラクター事業のサンエックスが製作したキャラクターシリーズ「パレッツスウィートストリート」のキャラクター。首にピンクのリボンをつけた黒い猫。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android