パンテオン(英語表記)Pantheon

翻訳|Pantheon

デジタル大辞泉 「パンテオン」の意味・読み・例文・類語

パンテオン(Pantheon)

《すべての神に捧げられた神殿の意》ローマ市内にある、古代ローマ円形神殿。古代ローマ最大の円蓋建築で、前27年アグリッパ建設。のち、焼失して、120年から125年にかけてハドリアヌス帝が再建。現在はキリスト教寺院で、ラファエロらの有名人、近代イタリア諸王の墓廟となっている。
パリにある国家的功労者の墓廟。ユゴーゾラルソーらが埋葬されている。

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精選版 日本国語大辞典 「パンテオン」の意味・読み・例文・類語

パンテオン

  1. ( Pantheon ギリシア語で神々の意 )
  2. [ 一 ] ローマにある円形神殿。二世紀初めにハドリアヌス帝が再建。円形の平面の上に半円ドームを戴き、内部には半径二二メートル強の球が内接する空間が作られている。
  3. [ 二 ] パリに建つ新古典主義の建築。聖ジュヌビエーブ教会として、一七六四年から八〇年に建設。J=G=スフロ設計。柱を多く用い、新古典主義建築の先駆となる。フランスの国民的偉人をまつる記念堂として用いられている。

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改訂新版 世界大百科事典 「パンテオン」の意味・わかりやすい解説

パンテオン
Pantheon

ローマのパラティヌスの丘近くに,ローマ皇帝ハドリアヌスによって118年ころ着工,125-128年ころ完成した神殿。パンテオンとは〈汎神殿〉〈万神殿〉の意。内径42.8mの円形プランを有し,その上に半球状のドームがのる。床面から内側最高部まで42.8mある。軀体はコンクリート造であり,壁体の最も厚い部分は6mある。円堂形の主要部の前にはポルティコ(列柱廊玄関)形式の前部が付く。その三角破風下には〈マルクス・アグリッパ,第3回コンスルのとき(これを)造る〉という碑文があるため,19世紀末では前1世紀末に建造されたとみなされていた。パンテオンには天空の七神がまつられていたとする説があるが,まだ定説ではない。またハドリアヌスはここで裁判も行った。帝国崩壊後は,サンタ・マリア・アド・マルティル聖堂と改名されたため後代の宗教的迫害による破壊をまぬがれ,古代ローマ建築としては最も保存状態の良い建物である。このため,ルネサンス時代のときにパラディオらの建築に大きな影響を与えた。パンテオンは近世以後,王や国家に貢献した物故者の,遺体や遺品を収める墓廟の役割も果たすようになった。ラファエロをはじめ芸術家の墓もパンテオン内部にある。

 なお,18世紀後半,パリに建造されたギリシア十字形プランの同名のパンテオンには,ビクトル・ユゴーやエミール・ゾラらの墓がある。
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百科事典マイペディア 「パンテオン」の意味・わかりやすい解説

パンテオン

古代のギリシア,ローマにおいて諸神をまつる所。〈汎神殿〉〈万神殿〉の意味。現在ローマに残るパンテオンは,118年ころハドリアヌス帝によって着工,125年―128年ころ完成。円堂形式をとり,直径,高さともに42.8m。7世紀初め以後はキリスト教寺院となり,サンタ・マリア・ロトンダとして知られる。パリのパンテオンは1764年―1790年サント・ジュヌビエーブ聖堂として建てられ,スフロの設計によるフランス新古典主義の代表的建築。19世紀以降ビクトル・ユゴーやエミール・ゾラら国家的な功労者や偉人をまつる廟となり,パンテオンと称する。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「パンテオン」の解説

パンテオン
Pantheon

「最も神聖な神々の神殿」または「すべての神々の神殿」の意。現在ローマ市にあるものは,ローマ皇帝アウグストゥスの時代に,帝の先祖の神々をまつるためにつくられたもので,のち焼失し,ハドリアヌス帝が再建。

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旺文社世界史事典 三訂版 「パンテオン」の解説

パンテオン
Pantheon

古代にもろもろの神を祭った神殿
「すべての神々の神殿」の意。ローマ市に残る円形ドームのものが最も有名で,前27〜前25年,アクティウムの海戦の戦勝記念としてアグリッパが建立した。110年落雷のため焼失し,115〜125年にハドリアヌス帝が再建。18世紀ルイ15世がパリに建てた同名のパンテオンは,フランスの偉人の廟 (びよう) である。

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世界大百科事典(旧版)内のパンテオンの言及

【スフロ】より

…帰国後リヨンでオテル・デュー(1755)などの公共建築を多く手がけて名声を博し,パリに招かれてサント・ジュヌビエーブ教会(1790。現,パンテオン)などを設計。ローマ滞在中に知ったピラネージを中心とする新古典主義の影響を受け,古典建築の厳正さに奔放な精神を加味したフランス新古典主義建築を生み出した。…

【ドーム】より

… 建設の歴史は古く,水平に積まれた石層を順次せり出した持送り式ドームの例にミュケナイ時代の遺跡アトレウスの宝庫がある。ローマ時代にはパンテオン(内径43m)に代表される単殻コンクリート造ドームが建設されたが,煉瓦壁とコンクリートによるこの種のドームは基層部に外向きの推力が生じるため,ドームの周囲に沿ってそれを支持する巨大な扶壁(バットレス)を必要とした。一方,ドーム本体の重量はできるかぎり軽減されねばならず,外壁を段状にする(パンテオン),内壁面を格間仕上げとする(同),コンクリート内に空の陶器壺を混入させる(ラベンナ,サン・ビターレ教会)などいくつかの工夫がなされた。…

【リゴリオ】より

…前者は彼自身が発掘したハドリアヌス帝のウィラ遺跡の影響を受けた雄大な噴水テラス庭園,後者は同じく古代ローマ時代の園亭を範とした小園であり,いずれも古代の図像と寓意に富む博識かつ衒学(げんがく)的な装飾性を特徴とする。熱心な古代研究家として知られ,古代の文物に関する多くの素描,記録を残したほか,パンテオンの青銅扉とドーム外装を修復した。バチカン宮殿,ベルベデーレ宮殿の庭の改修にも従事したが,教皇庁関係の工事ではミケランジェロの対立者であった。…

【ロトンダ】より

…円形の空間は人々の宇宙観,生死観と深い関連をもち,古くから墳墓や神殿の形態として用いられた。古代ギリシアの円形神殿(トロスtholos)もその一例であり,ローマのパンテオン(2世紀初め)は最も壮大な円形神殿で,〈ロトゥンダRotunda(ラテン語)〉の代名詞で呼ばれた。この伝統はキリスト教建築にも継承され,洗礼堂や聖人の廟などに円形プランが用いられることが多かった。…

※「パンテオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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