ヒカゲノカズラ

百科事典マイペディアの解説

ヒカゲノカズラ

ヒカゲノカズラ科の常緑シダ。沖縄を除く日本各地の崖,山腹などに多く生育し,日陰にはあまりはえない。茎は紐(ひも)状で長くのび,まばらに二叉(ふたまた)に分かれて地面をはう。葉は堅いとげ状で小さく,茎の周囲に密生。夏,2〜4叉に分枝する細い枝が立ち,頭に胞子嚢穂をつける。胞子は石松子(せきしょうし)といい,丸薬の衣などとする。

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世界大百科事典 第2版の解説

ヒカゲノカズラ【Lycopodium clavatum L.var.nipponicum Nakai】

山地の林下や路傍の日当りのよい場所にふつうに生えるヒカゲノカズラ科多年生の常緑性草本(イラスト)。茎は主茎と側枝に分かれる。主茎は地表を長くはい,ところどころ分枝し,白色の根を出し,葉をややまばらにつける。側枝は数回,二叉(にさ)に分枝し,葉を密生する。直径は葉とともに5~10mm。葉は開出し,線形から広線形で,長さ4~6mm,幅0.5~1mm。胞子囊穂をつける枝は直立し,圧着した線形の葉をまばらにつけ,先で枝分れし,円柱状で長さ10~15cmの胞子囊穂を3~6個つける。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヒカゲノカズラ
ひかげのかずら / 日陰蔓
club-mossrunning-pine
[学]Lycopodium clavatum L.

ヒカゲノカズラ科の常緑性シダ。径5ミリメートルの茎は長く地表をはい、針状の葉をつける。互生する側枝は直立し、さらに枝分れする。この枝の先に円柱状で長さ5センチメートル前後の胞子嚢穂(のうすい)を頂生する。北半球の温帯に普通にみられ、日本では北海道から九州にかけての丘陵地から深山にまで広く分布する。昔から親しまれた植物で、『古事記』にもその名が記され、『万葉集』巻19では「あしひきの 山下日影(ひかげ) かづらける 上にや更(さら)に、梅をしのはむ」と詠まれている(日影=ヒカゲノカズラ)。今日でも地方によっては新年や祝いの席に飾る風習がある。胞子は石松子(せきしょうし)といい、脂肪油が40~50%も含まれているため、防湿性がある。このため、かつては丸薬の衣としたり、ベビーパウダーに混入されていた。また、花火の閃光(せんこう)剤、鋳型の分型剤などにも利用されることがある。全草を煎用(せんよう)すれば利尿や通経の効があるという。近縁のアスヒカズラL. complanatumもヒカゲノカズラと同様に利用される。コスギランL. selagoも近縁種で、高山帯の岩間に生え、氷河期の生き残りとされる。メキシコでは駆虫剤に利用するが、近年、アルコール中毒の治療に有効とされるセラギンというアルカロイドが抽出された。料理のあしらいにスギのかわりに用いられるマンネンスギL. obscurumもこの仲間である。[栗田子郎]

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世界大百科事典内のヒカゲノカズラの言及

【古生ヒカゲノカズラ】より

…初期のヒカゲノカズラの仲間で約3億7000万年前のデボン紀に産したシダ植物の化石群(目)Protolepidodendrales。ドレパノフィクスDrepanophycus,バラグワナチアBaragwanathiaアステロキシロンAsteroxylon,古生鱗木(りんぼく)Protolepidodendron(イラスト),コルポデキシロンColpodexylonなどを含む。…

【小葉植物】より

ヒカゲノカズラ類Lycopsida(英名lycopods),石松(せきしよう)綱などともいう。シダ植物(無種子維管束植物)のうち,小葉性の葉をもった植物群で,現生にはヒカゲノカズラ属,イワヒバ属,ミズニラ属など5属があり,古生代に繁茂した鱗木(りんぼく)や蘆木(ろぼく)なども含まれる。…

※「ヒカゲノカズラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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