ヒヨス(英語表記)henbane
Hyoscyamus niger L.

精選版 日本国語大辞典 「ヒヨス」の意味・読み・例文・類語

ヒヨス

  1. 〘 名詞 〙 ( ラテン語の学名 hyoscyamus の変化した語 ) ナス科の越年草。ヨーロッパ、北アフリカ、インド原産で、薬用に栽培される。高さ約一メートル。全体に軟毛を密布する。茎葉は長さ一五~三〇センチメートルの卵形または長楕円形で縁は欠刻状。下葉はさらに大きく葉柄がある。夏、先が浅く五裂した径二センチメートルぐらいの漏斗状花が咲く。花は浅緑色で紫色の脈がある。果実は円形で熟すと横に裂け腎臓形の種子をだす。有毒植物だが葉からヒヨスエキスをとり、鎮痛剤として用いる。

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改訂新版 世界大百科事典 「ヒヨス」の意味・わかりやすい解説

ヒヨス
henbane
Hyoscyamus niger L.

ヒヨスチアミンhyosciamineという毒性の強いアルカロイドを含むことで有名なナス科の二年草。ヨーロッパからシベリア,中国,ヒマラヤにかけて広く分布する。日本には自生しないが,薬用のためにしばしば栽培される。

 茎は高さ1m内外で,葉とともに密に腺毛があり,べたべたと粘る。葉は互生し,広卵形で浅い欠刻があり,長さ15~30cm。花は7月ごろに咲き,花冠は鐘形で先は5裂する。裂片は平開し,先は円く,黄色に淡紫色の条がある。花冠の中央部は紫色。萼は花後生長し,蒴果(さくか)を包む。蒴果は長円形で上部がふたとなり,熟すとふたが開いて種子を散らす。葉からとったヒヨスエキスが薬用となる。鎮痛・鎮痙(ちんけい)作用のあるアルカロイド,ヒヨスチアミンおよび少量のスコポラミンscopolamineを含む。アルカロイドの原料植物として世界各地で栽培される。また開花生理の実験材料として著名であり,春化が接木でうつることは,この植物を用いて実証された。ヒヨス属はヨーロッパ,北アフリカ,アジア一円に分布し,約20種が知られる。
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百科事典マイペディア 「ヒヨス」の意味・わかりやすい解説

ヒヨス

ユーラシア中北部原産のナス科の一年草。古くより,有毒,薬用植物として知られる。高さ1m内外。全株に粘着性の軟毛を密生。葉は互生し広卵形で長さ15〜30cm。夏,開花。花冠は漏斗(ろうと)形で5裂し,紫色の網目模様がある。全草にアルカロイドのヒヨスシアミンを含む。葉をヒヨス葉といい,鎮痛,鎮静などの薬用とする。

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