イギリスの小説家。ロンドンの商人の家に生まれた。詩人シェリーと親交を結んだがロマン主義の思想にはつねに一定の距離を保ち,懐疑的な詩論《詩の四つの時代》(1820)を書き,それへの反駁(はんばく)である《詩の擁護》(1821)をシェリーが執筆するきっかけをつくった。W.スコット風のロマンティックな冒険小説も書いたが,彼の本領は田舎の屋敷に当代の思想傾向を代表する各種の奇人変人が集まり,議論を戦わせるという設定の風刺小説である。《突進屋敷》(1816),《メリンコート》(1817),《悪夢僧院》(1818),《気まぐれ城》(1831),《グリル荘》(1861)などの作品がある。彼自身は懐疑的な自由主義者だったが,プロットらしいプロットのない彼の小説では,議論に決着がつくことはない。知的風刺のためのこの舞台設定は,20世紀のA.ハクスリー,バージニア・ウルフに受け継がれている。
執筆者:海老根 宏
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亜鉛アルミニウムスピネルZnOAl2O3の亜鉛をコバルトで、アルミニウムをクロムで一部置換した組成(CoZn)O(AlCr)2O3のスピネル固溶体を主体とする青緑色顔料(がんりょう)。本来、陶磁器の分野で誕生したものであるが、最近は一般の無機顔料の分野でも、耐熱性、耐候性、耐薬品性などの厳しい条件下で使用される塗料、プラスチックなどの着色剤に用いられている。酸化コバルト、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、酸化クロムを配合し、1300℃で焼成して得られる。一般の無機顔料の場合は、焼成温度は若干低くなる。ジルコン、ジルコニア、酸化スズ系顔料の出現するまでは、ビクトリアグリーンとともに緑の部分をカバーする数少ない顔料であった。
[大塚 淳]
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