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ファイアー Fire, Andrew Z.

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ファイアー
Fire, Andrew Z.

[生]1959.4.27. カリフォルニア,サンタクララ
アメリカ合衆国の科学者。 1983年マサチューセッツ工科大学で生物学を専攻して博士号を取得,1986年にボルティモアのカーネギー研究所に入り,2003年スタンフォード大学教授。カーネギー研究所でクレイグ・C.メロと共同で,特定の2本鎖 RNAを細胞中に導入するとそれに対応する遺伝子の機能が抑制される「RNA干渉」という現象を発見,1998年『ネイチャー』に論文を発表した。このリボ核酸 RNAが遺伝子の働きを抑える現象は,植物,動物,あるいは人でも一般的に起こっており,遺伝子の活動を調節したりウイルスの感染を防いだりしていることがわかってきた。 RNA干渉は特定の遺伝子の働きを止めるという基礎的な実験手法として定着しているほか,エイズや癌,肝炎といった病気に対する治療法の開発の可能性もある。 RNA干渉の発見を評価され,メロとともに 2006年のノーベル生理学・医学賞を受賞した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ファイアー
ふぁいあー
Andrew Z. Fire
(1959― )

アメリカの科学者。1983年にマサチューセッツ工科大学で生物学博士号を取得。スタンフォード大学医学部の教授。2003年メローとともにワイリー医学生物科学賞を受賞、2006年にはノーベル医学生理学賞を同様にメローとともに受賞した。
 生命現象の設計図とされているデオキシリボ核酸(DNA)は、塩基とよばれる化学物質が限りなくつながる2本鎖でできている。この情報が1本鎖のリボ核酸(RNA)に転写され、それをもとにタンパク質製造が行われる。癌(がん)を発症させるDNAが働いたときに、RNAの働きを抑えると発症を抑えることができるため、1本鎖のRNAに人工RNAを結合させてその働きを抑える研究に発展した。
 二人はアメリカのカーネギー研究所にいた1996年ころ、1本鎖の人工RNAを線虫に入れて筋肉を動かすRNAの働きを抑制する実験を行った。そのとき比較実験として2本鎖のRNAも注入する実験を行った。1本鎖RNAを入れた線虫にあまり変化がなかったのに、2本鎖を入れた線虫ではRNAの働きが劇的に抑制されていた。予想外の実験結果を二人は発展させ、2本鎖RNAは標的にしたRNAを抑えて、タンパク質の合成を止めてしまう成果へと結びつけた。その後の研究から2本鎖RNAの鎖がほどけて1本になり、対応する遺伝子の発現を阻害してタンパク質の合成も行われないことがわかった。
 これは「RNA干渉」とよばれるようになり、世界中で研究が始まってRNA薬の開発などで激しい競争が展開されている。RNA薬はDNAを傷つけず副作用もほとんどないとされ、癌、目の黄班変性症、インフルエンザ、C型肝炎、エイズ、ホルモン異常、感染症などの治療薬の研究が進んでいる。
 RNA干渉の発見によってRNAにはこれまで知られていなかった機能があることがわかり、RNAの役割を解明する研究も精力的に進められている。[馬場錬成]

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