フィルター(写真撮影用器材)(読み)ふぃるたー(英語表記)optical (photographic) filter

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

フィルター(写真撮影用器材)
ふぃるたー
optical (photographic) filter

写真撮影用器材の一つ。写真撮影に利用している光(太陽光、人工光など)を、波長によって選択吸収する働きをする。

構造と材質

着色ガラス製のソリッドフィルターが一般的。これをねじ付きの金属枠に固定したものが多用されている。そのほか、厚さ80~200マイクロメートルのトリアセテートや、0.1ミリメートル程度のゼラチン薄膜に着色したもの、これらの薄膜をガラスで挟んだサンドイッチフィルターなどもある。いずれも光学的平行平面をもち、一般撮影の場合は、撮影の際レンズの前面に取り付ける。

[伊藤詩唱]

用途

かつては、フィルターはモノクロームフィルムの感色性の欠点を補う目的でつくられたが、今日この目的に使用されることはまれである。モノクローム用では、ある波長より短い波長の光を吸収し、より長い波長の光を透過する性質のものをシャープカットフィルターとよぶ。たとえば、SC-Y44とある場合、SCはシャープカットの略、Yはフィルターの色(yellow filter)、44は440ナノメートルより短い波長の光をカットし、より長い波長の光を透過することを意味する。

 カラー用には、色温度変換用のLBフィルターlight balancing filter(色温度上昇用はブルー、降下用はアンバー、変換力はデカミレッドで表示)、カラーフィルムの発色を微妙にコントロールするCCフィルターcolor compensation filter(シアンマゼンタイエロー、ブルー、グリーン、レッドの6色で、補正力は濃度の100倍で表示)、蛍光灯の色を補正するものなどがある。

 なお特殊フィルターに、非金属または水面の反射光や空中光などの偏光をカットする偏光フィルター、選択吸収をせずにすべての光を一様に吸収して透過光量を減少させるND(中性濃度)フィルターneutral density filterなどがある。

[伊藤詩唱]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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