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フェール Fert, Albert

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

フェール
Fert, Albert

[生]1938.3.7. カルカソンヌ
フランスの物理学者。 1962年エコール・ノルマル・シュペリュール (高等師範学校) で数学と物理の修士号,1970年パリ南大学で博士号を取得し,1976年同大学の教授となった。 1995年からはフランス国立科学研究センター CNRSと航空・防衛・情報の大手企業タレスがパリ南大学と提携する物理研究ユニットのディレクターを兼務。 1988年鉄とクロムの薄い層を交互に積層させた物質を零下約 269℃の低温にして磁場をかけると,その電気抵抗が半分になることを発見,この現象を巨大磁気抵抗効果 GMRと名づけて論文を発表した。 GMRの発見は磁気ディスクの読み取りヘッドの実現など,エレクトロニクス分野の発展に貢献。この業績により,2007年ペーター・グリュンベルクとともにノーベル物理学賞を受賞した。同年ウルフ賞,日本国際賞も受賞。 (→磁気抵抗効果 )

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

フェール
ふぇーる
Albert Fert
(1938― )

フランスの物理学者。パリ南大学(パリ第十一大学)で博士号取得。パリ南大学教授。1995年から国立科学研究センター・ターレス物理学共同研究所部長。2007年に「巨大磁気抵抗の発見」によって、グリュンベルクとともにノーベル物理学賞を受賞した。2007年(平成19)に日本国際賞を受賞している。
 電気を通す鉄などの金属は、磁石が近くにあると電気の流れを変える磁気抵抗という性質をもっている。巨大磁気抵抗は、わずかな磁場の変化に反応して電気抵抗が変化する現象である。1970年代中ごろ、日本の研究者が数ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の絶縁体の薄い物体を鉄の超薄膜でサンドイッチすると、外部の磁場に応じて抵抗が変わる現象を理論的に予測していた。しかし当時は、超薄膜の物質をつくるのはむずかしいうえ、極低温に冷却する必要もあるため実証するのは困難であった。1980年代の後半になって、ナノレベルの超薄膜をつくる技術が開発されたため、1988年に電気を通す金属クロムの超薄膜と鉄の超薄膜を重ねることによって巨大磁気抵抗が実現する現象を発見した。厚さ1~3ナノメートルの鉄とクロムの超薄膜を60枚重ねたものを、マイナス260℃くらいまで冷やして磁場をかけると抵抗が半分になることを発見したものである。
 同じころグリュンベルクは、鉄とクロムの3層の超薄膜をつくって磁場をかけ、電気抵抗を1%変化させることに成功した。記憶装置のハードディスク(HD)には、微小な磁石のN極、S極として情報が書き込まれているが、この発見の原理を応用するとわずかな磁気の変化でも電気抵抗が変わるために超高感度の読み取りが可能になる。HDを小型化し高密度の情報を書き込むと磁石の力は弱くなるが、それを高感度で読み出すことが可能になったのである。この原理の発見によってコンピュータに使用されている記憶装置の小型化と大容量化への道を開いた。[馬場錬成]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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